口入屋 (落語)

『口入屋』 - 上方落語の魅力

上方落語の名作『口入屋』は、華やかな美女が職業紹介所から大店に奉公に来るところから物語が始まります。この演目は、特に大きな楽しみを持つ落語ファンにとって、絶え間ない笑いを届ける重要な作品であり、登場人物たちの愉快な奮闘が魅力です。

あらすじの詳細

まず、舞台は船場にある大店です。ここに口入屋から美しく才覚も兼ね備えた女中が派遣されることになります。この店は今まで、若者とのトラブルを避けるため、外見に恵まれない女中ばかりを雇っていました。しかし、若い一番番頭の不満が募り、彼は丁稚の定吉をたきつけて、絶世の美女を呼び寄せる作戦を立てます。

美女が来ることが決まると、店内は興奮状態に包まれ、特に一番番頭の張り切りようは目を見張るものがあります。この流れを受けてその日は早仕舞いとなります。さて、大騒ぎの一日が過ぎ、夜も更けた頃、場面は一転します。

夜の騒動

夜中、二番番頭が静かに二階の女中部屋に忍び込もうと試みます。しかしおかみの配慮で、梯子は上に引き上げられ、引き戸も閉まっています。この事態に困った彼は膳棚を頼りにしようとしましたが、それが壊れかけていたため、棚は落ちてしまい、彼はそれを肩で支える羽目に。

しばらくして、今度は一番番頭が同じように行動を起こします。彼もまた膳棚を支えながら二番番頭に合流し、二人でまで同じ行動を取ることに。と、そこへ最後に手代が登場し、今度は天窓の紐を使って上がることを考えます。しかし、彼がぶら下がった瞬間、紐が切れてしまい、手代は井戸の中に落ちてしまいます。

騒ぎを聞いたおかみの登場

騒動の音が聞こえる中、おかみが灯りを持って状況を見に来ます。そんな中で、二番番頭と一番番頭は棚を担いだままで仮眠を装います。おかみは思わず「何をしているの？」と尋ね、二人の答えは「引っ越しの夢を見ておりました…」と、見事な言い訳をします。このオチは、当初の内容から近年の演出に変わった部分です。

見どころと聴きどころ

『口入屋』はただの落語ではなく、社会的な背景や人間の欲望、心の揺れ動きも表現されています。定吉の勝手な振る舞いや、おかみの機転が効いた言葉、萬太郎らの失敗続きの行動が印象に残ります。さらに、原話の「壬生の開帳」との関連性も確認することで、作品への理解が深まります。

特に夜這いを見つかってしまう状況や、そこから生まれる機知に富んだやり取りは、落語の魅力を存分に引き立てています。また、1940年に内容が問題視されて禁演落語となった経緯は、社会背景も垣間見える興味深いエピソードです。

落語ファンにとっては何度でも楽しめる作品であり、演者によって変わるその解釈や表現力も一つの楽しみです。ぜひ、実際に聴いて、その魅力を体感してみてください。

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