古今亭志ん五 (初代)

初代古今亭志ん五について

初代古今亭志ん五（ここんてい しんご）は、1949年5月30日に東京・台東区浅草に生まれ、2010年9月28日に61歳で亡くなった落語家です。彼は落語協会の常任理事を務め、多くの人々に愛された存在でした。出囃子は「ゲイシャワルツ」から「藤娘」へと変わり、血液型はB型、本名は篠崎進です。

経歴

志ん五は、1966年8月31日に母親を伴い、当時の大師匠である古今亭志ん生の元へ弟子入りを直訴しました。志ん生は弟子を取らない方針でしたが、志ん五の情熱に心を動かされ、三代目古今亭志ん朝の元で内弟子になる許可が下りました。その後、古今亭高助として前座修行を経て、1968年1月2日に上野鈴本演芸場で初高座を経験しました。この公演は志ん生の最後の定席出演でもありました。

1971年11月には二ツ目に昇進し、志ん三という名に改名。1973年に志ん生が亡くなると、彼は志ん朝の門に正式に復帰しました。1978年には落語協会の分裂騒動に巻き込まれ、自らは真打昇進試験を拒否し、敢えて二ツ目の地位に留まることを選択しました。その際、二ツ目昇進時に11人同時昇進したことで、真打に一括して昇進することを嫌った理由を後に語っています。

1982年11月には初代古今亭志ん五として真打に昇進しました。この改名の理由は公には新居の転居に関連付けられることが多いですが、シンゾウという名前への間違った読みを避けたかったという夫人の意向もあったそうです。1983年には第3回国立演芸場花形新人大賞を受賞し、彼の名声はさらに高まりました。

しかし、2010年9月28日に上行結腸癌のため、東京都内の病院で息を引き取りました。弟子たちは後に六代目古今亭志ん橋の門下に入ることとなりました。志ん五の死去の際、彼の友人である原田芳雄とのエピソードが語り継がれています。原田が亡くなる4日前に松尾貴史を見舞った際、「志ん五のように働きすぎて死ぬなよ」と警告したというやりとりがありました。

人物

志ん五は三代目古今亭志ん朝の一番弟子であり、五代目古今亭志ん生の最後の弟子でもありました。妻の篠崎好美は書道の師範として活躍し、多彩な才能を持つ人物です。彼女は書道教室を運営し、文化体験施設でも講師を務め、落語協会内での役割も果たしていました。夫の死去後、彼女は長男と共にUstreamで配信活動を行い、多くのファンに支持されました。

弟子

志ん五の死後、彼の弟子たちも続々と落語家として活躍しており、全員が六代目古今亭志ん橋の門下に所属しています。彼の弟子には古今亭朝太、古今亭志ん公、古今亭志ん八、古今亭大五朗がいます。また、色物としての笑組も存在し、彼らも志ん朝の死去を受けて移籍しました。

得意ネタ

志ん五は特に『道具屋』によって与太郎の独特なキャラクターを確立し、「与太郎の志ん三（五）」と称えられました。彼のパフォーマンスは一部では放送禁止にされるほどの衝撃を与えました。しかし、体力を使う与太郎の芸から次第に距離を取り、『井戸の茶碗』『柳田格之進』『浜野矩隨』などの武家物を扱い、新たな境地に挑みました。

CD・DVD

彼の表現された芸を観ることができる作品も多く、2009年に公開された「とっておき寄席! 古今亭たっぷり二時間半」や、2010年にリリースされた「らくごin六本木 スペシャルセレクション」などが有名です。これらは彼の落語を楽しむ素晴らしい資料となっています。

志ん五の残した影響は現在も続いており、落語文化においてその存在は欠かせないものとして広く認知されています。

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