古代リビュア

古代リビュアとは

古代リビュアは、現在の北アフリカ地域を指す言葉で、特に古代ギリシア語の「Λιβύη (Libyē)」に由来します。この地域は、古代エジプト文明よりも前から、ベルベル人（アマジグ人）によって数千年にわたり支配されてきました。

地理的範囲

古代リビュアは、広義にはアフリカ大陸全体を指していましたが、より狭義にはエジプトの西に位置する地域、すなわちマルマリカ（Libya Inferior）とキレナイカ（Libya Superior）を指していました。また、クレタ島の南に位置する地中海の一部は、マレ・リビュクム（リビア海）と呼ばれていました。

ヘレニズム時代には、ベルベル人はギリシア語で「リビュア人」として知られており、彼らの居住地は「リビュア」と呼ばれていました。この時代のリビュアは、当時知られていたアフリカ大陸の大部分を指していました。興味深いことに、現代のエジプト領内にあるシーワ・オアシスも、当時は古代リビュアの一部でした。現在でも、この地域ではベルベル語派に属するシーワ語が使用されています。

名称の由来

「リビア」という名称は、ベルベル人の民族名である「リブ (Libu)」に由来します。この名称は、紀元前13世紀のエジプト第19王朝のファラオ、ラムセス2世やメルエンプタハの時代に遡る記録にも見られます。メルエンプタハ石碑には、「LBW」という民族名が登場します。

古典ギリシア時代には、リビュアは非常に広い範囲を指し、ヨーロッパとアジアを含む世界の陸地の3分の1を占めると考えられていました。この地域は、後に「アフリカ」として知られるようになります。

ホメロスとリビュア

ホメロスは、叙事詩『オデュッセイア』の中でリビュアに言及しています。彼はリビュアを地名として使用し、その地の住民をロートパゴス族と呼びました。また、メネラーオスがトロイからの帰還途中にリビュアを訪れたという記述もあり、その土地が非常に豊かであったことが伺えます。

歴史的背景

紀元前630年代に古代ギリシア人がリビュアに入植した際、彼らはベルベル人のリブ族と共存していたと考えられています。キレナイカには、エジプト語に由来する古い名前が与えられました。その後、この名前はヘブライ語の聖典に「Lehabim」または「Lubim」として登場し、民族名と地理的地域を指す言葉として使用されました。

古代リビュアは、その地理的範囲、名称の由来、そして多様な民族の歴史が織りなす、豊かな文化を持つ地域でした。

関連項目

リビアの歴史
地理学の歴史「古代ギリシア」

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