古代レバノンの歴史

古代レバノンの歴史

古代レバノンの歴史は、紀元前3000年頃、フェニキア時代の始まりにさかのぼります。この時期、現在のレバノン地域には、豊かな森林と海岸線に沿った都市が形成されていました。この地に住んでいたのは、ギリシャ人によって「フェニキア人」と呼ばれるセム系民族であり、彼らは自らを「シドンの人」と称し、国家を「レバノン」と名付けていました。

フェニキア時代

フェニキア人は、地中海沿岸での貿易を基盤とし、都市ごとに独立した王国を形成していました。主要な都市には、ティルスやシドンがあり、これらの都市は海上貿易や商業の中心地として重要な役割を果たしていました。古代の港町Gubla（現ジュバイル）やBerytus（現ベイルート）も貿易と宗教の重要な拠点として機能していました。Gublaは、古代エジプトとの初期の貿易で知られ、杉材やオリーブオイル、ワインを輸出していました。

紀元前17世紀の終わりには、ヒクソスの侵攻によってエジプトとの貿易が中断されましたが、その後、エジプトのファラオイアフメス1世によってヒクソスが排除され、再びレバノンはエジプトの影響下に入ることとなります。しかし、紀元前14世紀にはエジプトが弱体化し、レバノンは独立を回復しました。この時代は、古代フェニキア人がアルファベットを発明し、繁栄を遂げた時代でもありました。

アッシリア時代

アッシリア時代（紀元前875年～608年）には、アッシリアがフェニキアの都市から独立を奪い、これに反抗する運動が発生しました。ティルスやビュブロスが反乱を起こしましたが、アッシリアに鎮圧され、過酷な重税が課せられました。最終的には、アッシリアの力が衰退し、新バビロニア王国に滅ぼされることとなります。

バビロニアとアケメネス朝ペルシアの時代

バビロニア時代では、フェニキア都市群が再び反乱を起こし、特にティルスは、ネブカドネザル2世による13年間の包囲を経て降伏しました。その後、アケメネス朝ペルシアによる統治が始まり、レバノンはペルシャの県に組み込まれました。

アレクサンドロス大王の侵攻

アレクサンドロス大王の登場は、さらなる変革をもたらしました。彼はアケメネス朝を打倒し、レバノンへと侵攻し、ティルスを包囲しました。ティルスが陥落することで、フェニキア地域はアレクサンドロスの支配下に置かれました。

セレウコス朝とローマの統治

アレクサンドロスの死後、フェニキアはセレウコス朝の支配を受けます。しかし、セレウコス朝とプトレマイオス朝の間での争いは、地域の経済に悪影響を及ぼしました。紀元前64年にはローマに併合され、レバノン地域はローマ属州となりました。この時期、都市は繁栄を謳歌し、ビュブロスやシドンは経済的中心地としての地位を確立しました。港は多様な物産の集積地となり、経済は活気を見せました。

結論

古代レバノンの歴史は、フェニキア人の繁栄から始まり、数多くの征服者によってその運命が大きく変わりました。その中で、文化の発展や経済活動が盛んに行われ、現代のレバノンに至る基盤が築かれたと言えるでしょう。

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