古川町橋

古川町橋（ふるかわまちばし）

古川町橋は、京都市東山区に位置し、白川に架かる風情ある石橋です。その歴史的背景と美しい景観から、「日本百名橋」の番外として選ばれています。地元では、行者橋、一本橋、阿闍梨橋といった別名でも親しまれています。

概要

橋の全長は約12メートル、幅は約67センチメートル。4径間の石造桁橋として構成されています。現在の橋は1907年（明治40年）に架け替えられたもので、京都市の市道の一部として利用されています。橋の北東には活気あふれる古川町商店街が、南東には由緒正しい知恩院が位置しています。

特に、比叡山の行者が千日回峰行の「京都大廻り」を行う際、白装束を身にまとい、この橋を渡る光景は有名です。また、祇園祭の際には稚児が、粟田神社の祭りの際には氏子がこの橋を渡るなど、地域住民の生活や文化に深く根ざしています。

橋板は、2枚の石板を左右一組として、対岸まで縦に4つ並べた構造になっています。人道橋であるため、自動車の通行はできません。橋のたもとには京都市が設置した解説板があり、「一本橋」という別名の由来について説明しています。

歴史

古川町橋の正確な架設年は明らかになっていません。しかし、江戸時代中期から後期の国学者・有職故実家である橋本経亮（1755年 - 1805年）が1786年に記した随筆『橘窓自語』に「一本橋」として記述されているのが、文献における最初の記録です。この記述から、少なくとも江戸時代には既に存在していたことがわかります。

橋を渡るということ

古川町橋は、単なる移動手段としてだけでなく、様々な人々の祈りや願いが込められた場所でもあります。行者の修行、祭りの行列、日々の生活。それぞれの思いが、この橋を渡ることで、白川の流れとともに未来へと繋がっていくかのようです。古川町橋は、今日も静かに、その役割を果たし続けています。

参考文献

松村 博『日本百名橋』鹿島出版会、1998年8月。ISBN 978-4-306-09355-3。
読売新聞京都支局 編『京をわたる : 名橋100選』淡交社、1993年1月。ISBN 978-4-473-01276-0。

関連項目

* 日本の橋一覧

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