古木秀太郎

古木秀太郎（ふるき しゅうたろう）

古木秀太郎は、慶応3年12月13日（西暦1868年1月7日）、越後国中頸城郡三郷村（現在の新潟県上越市の一部にあたる地域）に生まれた人物である。大日本帝国陸軍の将校としてキャリアを重ね、最終的には陸軍少将の階級にまで昇った。軍歴を終えた後は、政治家として群馬県高崎市の市政を担ったという、軍事と行政の両分野で活躍した経歴を持つ。

軍人としての経歴

若くして軍の道に入った古木は、まず砲兵の専門教育を受けた。1887年（明治20年）に陸軍教導団の砲兵科課程を修了し、軍人としての基礎を築いた。その後、幹部候補生としての研鑽を重ね、1893年（明治26年）には陸軍士官学校を卒業している。翌年の1894年（明治27年）には歩兵少尉に任じられ、将校としての正式な歩みを始めた。

任官後、古木は順調に階級を上げ、多様な要職を歴任した。一時期は第2師団の副官として、師団運営の中枢に関わる重要な任務を遂行した。また、高崎連隊区の司令官として、地方における兵事事務や予備役・後備役兵員の管理といった業務を指揮した経験も持つ。これらの職務を通じて、部隊指揮だけでなく、組織運営や地域との連携に関する手腕を磨いていった。

大正時代に入ると、古木の軍歴はさらに進展する。1913年（大正2年）、彼は歩兵大佐に進級し、歩兵第15連隊長を拝命した。連隊長は、部隊を直接指揮する責任者であり、その能力が高く評価されていたことを示している。第一次世界大戦が勃発し、日本が国際情勢に深く関与していく時代の真っただ中で、彼は部隊の指揮という重責を担った。

そして、1918年（大正7年）には陸軍少将への昇進を果たし、将官の地位に到達した。これは、長年の勤務に対する実績と功労が認められた結果であった。しかし、この昇進と同時に古木は待命状態となり、事実上、現役部隊の指揮からは離れることとなった。

高崎市長への転身

陸軍少将に昇進した翌年の1919年（大正8年）、古木秀太郎は陸軍の予備役に編入されることになった。これにより、彼は長らく身を置いていた軍務から完全に離れることとなる。しかし、彼の公的な活動はここで終わらなかった。軍人として縁の深かった群馬県高崎市において、市民の信任を得て市長に選出されたのである。

軍隊の将官から地方自治体の首長への転身は、当時の社会においても特異なキャリアパスであったと言える。軍隊で培われた規律、組織運営能力、実行力といった資質を、今度は市政運営に活かすこととなった。当時の高崎市が抱えていたであろう様々な課題、例えば都市基盤の整備、産業の振興、市民生活の向上などに向けて、彼はその手腕を発揮しようと努めたと考えられる。市長としての具体的な業績については、手元の資料からは詳細をうかがい知ることは難しい。

晩年と公職追放

太平洋戦争が終結し、連合国軍による占領下において、日本の旧体制を解体する目的で公職追放が行われた。旧軍の幹部もその対象となり、古木秀太郎も例外ではなかった。終戦から2年以上が経過した1947年（昭和22年）11月28日、彼は公職追放の対象となるべき者の仮指定を受けるに至った。これにより、再び公的な役職に就く道は閉ざされることとなった。

公職追放仮指定を受けたわずか数ヶ月後の1948年（昭和23年）2月2日、古木秀太郎は81歳（数え年）でその生涯を閉じた。軍人として国の防衛に貢献し、その後は地方都市の発展に尽力した、激動の時代を生きた人物であった。

栄典

古木は軍人キャリアの初期段階から位階を授与されている。1894年（明治27年）5月1日、歩兵少尉に任官した時期に、正八位に叙せられたことが記録に残っている。これは当時の官吏や軍人に定められていた位階制度に基づくものであり、その後の功績や昇進によって更なる高位に進んだ可能性は考えられるが、詳細な記録は確認できない。

もう一度検索