古畑種基

古畑種基 - 日本の法医学の先駆者

古畑種基（ふるはたたねもと、1891年6月15日 - 1975年5月6日）は、日本の法医学の先駆者的存在であり、医学博士としても知られる。彼は東京大学の名誉教授であり、日本学士院の会員でもあった。古畑は科学警察研究所の所長も務め、日本の科学捜査の発展に深く寄与した。

生い立ちと教育

古畑は三重県南牟婁郡相野谷村（現在の紀宝町）に生まれ、古畑虎之助の次男である。彼は和歌山中学校、第三高等学校を経て、1912年に東京帝国大学の医科に入学。1916年に卒業すると、同大学の助手としてキャリアをスタートさせた。1921年には欧米に留学し、1923年に医学博士の学位を取得した。

その後、金沢医科大学に教職として赴任し、1924年からは教授として活動を開始。1936年には東京帝国大学の教授に就任し、1956年には国の文化勲章を受章している。

主な業績

古畑の研究の中で特に注目されるのは、ABO式血液型の遺伝学に関する研究である。彼は、強姦事件に関連する調査を通じて、血液型の遺伝の法則を研究。古畑は、AB型の親からO型の子どもが生まれることはないと明らかにし、当時の主流だった二対立因子説を再考させる結果を発表した。この説は後にA因子、B因子、O因子という三因子に基づくものであり、現代の血液型研究で廣く認識されている。

また、彼はQ型やE型と呼ばれる新たな血液型の研究にも関与したが、これらは後に誤りとされ使用されなくなった。これらの発見は、彼が法医学の分野で果たした重要な役割を象徴している。

冤罪事件と倫理的問題

一方で、古畑の鑑定方法は批判の対象にもなった。彼が鑑定に関与した数件の事件、例えば弘前事件や財田川事件、松山事件、島田事件においては、冤罪が発生したことが後に明らかとなった。これらの事件では、彼の鑑定結果が信頼性に欠け、無実の人々が有罪判決を受ける一因となった。特に、弘前事件では証拠が明らかになった後、古畑の鑑定が疑問視されることとなり、再審によって判決が覆された。

古畑の鑑定方法は科学の権威に頼りすぎていたとの指摘も多く、その結果倫理的な問題が浮かび上がった。これらの問題は、彼が提唱した法医学の限界を示すものとなり、法医学の発展や科学捜査の在り方についての議論を促す要因となった。

プライベートライフと影響

趣味は読書や旅行であり、宗教は曹洞宗に帰依していた。妻は薬学博士の芳であり、古畑は多くの子供を持つ父親でもあった。最終的には1975年に83歳で大学名誉教授としての生を閉じ、叙正三位を受け、贈勲一等旭日大綬章が授与された。

古畑種基は、日本における法医学の発展に貢献し、その業績は今日まで影響を及ぼし続けている。一方で、彼の研究が引き起こした冤罪事件は、科学捜査の在り方を問い直す契機となり、法医学の学問分野における重要な教訓を残している。

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