古知野町

古知野町

古知野町（こちのちょう）は、愛知県丹羽郡にかつて存在した自治体です。現在の江南市の中心部にあたり、市全体の面積の約40パーセント、そして人口の過半数を占める、江南市の主要な地域となっています。

歴史

古知野の歴史は古く、江戸時代には尾張藩の領地でした。この領地は成瀬家が治める地域、後に犬山藩の領地となる地域を含んでいました。

近代に入り、1889年（明治22年）10月1日に町村制が施行されると、現在の江南市古知野町にあたる区域を範囲として、丹羽郡古知野村が新たに誕生しました。その後、村は順調に発展し、1896年（明治29年）11月2日には町制を施行。これにより、古知野町へと移行しました。

明治期には大規模な自治体合併が進められ、1906年（明治39年）5月1日には、明治29年に町制を施行した古知野町が、周辺の村々を広く編入しました。具体的には、丹羽郡の両高屋村、旭村、和勝村、東野村、および栄村と秋津村のそれぞれ一部を取り込み、新たな古知野町として再出発しました。この際、町役場は従来の古知野町の区域（現在の古知野町大字古知野）に設置され、その建物は後の江南市発足後しばらくの間、市役所としても使用されました（現在は取り壊され、跡地は近隣商店街の駐車場となっています）。一方、この合併に含まれなかった栄村や秋津村の一部地域は、後に布袋町を経て、1954年（昭和29年）の市制施行時に江南市へ編入されています。

大正時代に入ると、交通網が整備されました。1912年（大正元年）8月6日には、名古屋鉄道犬山線が開通し、古知野町の区域内には古知野駅（現在の江南駅）と宮後駅が開設されました。なお、宮後駅は第二次世界大戦中に廃止されています。

また、この時期には教育機関や医療機関の設立も進みました。1926年（大正15年）には、現在も名門として知られる滝学園の前身にあたる滝実業学校（商業部・農業部）が大字東野に開校しました。さらに、1936年（昭和11年）11月には、江南厚生病院の前身の一つである愛知厚生連昭和病院が大字両高屋（後の野白町）に開院しています。戦後には、1949年（昭和24年）に愛知県立古知野高等学校が大字古知野に開校するなど、教育環境も充実しました。

そして、戦後間もない1954年（昭和29年）6月1日、丹羽郡古知野町は、同郡の布袋町、そして葉栗郡の宮田町、草井村と合併し、江南市が誕生しました。この合併に際しては、「古知野市」となる構想も存在しましたが、布袋町からの意見なども考慮され、「江南市」として発足することになりました。江南市役所は、当初は旧古知野町役場の建物を利用しましたが、後に現在地（赤童子町）に新築移転しています。現在、「江南市古知野町」と呼ばれる区域は、おおむね明治22年に古知野村が発足した際の区域を継承しており、江南市の主要市街地を形成しています。

交通

古知野町の区域には、名古屋鉄道犬山線が通り、主要駅である古知野駅（現在の江南駅）が設置されていました。また、かつては宮後駅も存在しましたが、戦時中に廃止されています。

学校教育

古知野町内には、町立の小中学校が整備されていました。具体的には、古知野中学校、古知野東小学校、古知野南小学校、古知野西小学校、古知野北小学校の5校があり、これらの学校は江南市となった後も名称を変えずに継承されています。児童生徒数の増加に伴い、後に古知野南小学校から江南市立門弟山小学校が、古知野中学校から江南市立西部中学校がそれぞれ分離・新設されました。また、古知野北小学校の校区の一部は、学校規模の適正化のため、江南市立北部中学校の区域に移管されています。このほか、昭和戦前には現在の古知野中学校の場所に町立女学校があり、後の愛知県立尾北高等学校の前身の一つとなりました。県立高校としては、1949年に開校した愛知県立古知野高等学校があります。私立学校では、大正時代に開校した滝実業学校（現在の滝学園）が町内に位置しています。

かつて古知野町だった地域は、江南市の誕生とその後の発展において、経済、交通、教育など様々な面で中心的な役割を果たしてきました。

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