古賀志山

古賀志山：宇都宮の自然とレジャーが融合する山

古賀志山は、栃木県宇都宮市北西郊外に位置する標高582.8mの低山です。日本百低山、栃木百名山、そして大谷七名山に数えられており、その知名度は高く、多くの登山者や観光客が訪れます。古賀志山という名称は、山頂遺跡からの出土物に記された「故賀志」に由来し、「扱がす（崩落崖）」が転訛したものという説があります。

古賀志山は、最高峰（582.8m）に加え、御岳（546m）、赤岩岳（536m）といったピークを含めた山塊全体を指す場合もあります。一見独立峰のように見えますが、足尾山地の開析された地形の一部であるという特徴があります。日光への玄関口に位置し、その雄大な姿から、北関東を代表する低山として知られています。

御嶽神社と古賀志山の信仰

御岳山頂には石製祠があり、御嶽神社が祀られています。弘化4年（1842年）に勧請されたこの神社は、全国的な御嶽信仰の高まりと時期が重なります。そのため、「御岳山」ではなく「御嶽山」と表記すべきとする意見もあります。古賀志山における御嶽信仰は比較的新しいもので、それ以前から、男滝、女滝、大日窟、赤岩山の風穴などが、地元住民によって聖地として崇敬されてきました。

多彩なレジャー施設とアクセス

古賀志山とその周辺は、多様なレジャー施設が整備されている点も特徴です。御岳の奇岩はロッククライミングの練習場として人気があり、赤岩山山頂はパラグライダーの発着場となっています。山麓には、国際大会も開催可能なロードレースコースがあり、毎年10月にはジャパンカップサイクルロードレースが開催され、国内外のトップ選手たちが競い合います。その他、山頂には携帯電話の中継局も設置されています。

山頂からの展望は、南側は開けており良好ですが、他の方向は木々に遮られて視界が制限されます。山頂には二等三角点も設置されています。東稜展望台や御岳からは、日光連山、高原山、那須連山、鞍掛山、多気山、宇都宮市街（遠くに筑波山）、鹿沼市街（遠くに富士[[山]]）といった広範囲の眺望が楽しめます。

登山ルートと注意点

古賀志山には複数の登山ルートが整備されていますが、コースによっては岩場を登る箇所もあり、初心者には難易度が高いとされています。そのため、栃木県山岳遭難防止対策協議会は、古賀志山を「中級者コース」に格上げしています。

主な登山ルートとしては、森林公園側から登るコースと、赤岩山から登るコースがあります。森林公園側のコースは、駐車場や案内板が整備されているため初心者にも比較的登りやすいですが、赤岩山からのコースは、案内板が少なく駐車場も無いなど、アクセスが困難で岩場も多いので、経験者向けです。

登山道の整備状況やマナーについては、地元住民や山岳関係者による清掃活動が行われていますが、ゴミのポイ捨てやマナー違反の問題も発生しており、更なる改善が求められています。

古賀志山のアウトドアアクティビティ

ロッククライミング

古賀志山には数十メートル級の岩壁が数多くあり、関東地方のロッククライマーに人気の練習場となっています。特に、南登山口付近の不動の滝周辺は有名で、休日には多くのクライマーでにぎわいます。ただし、岩場は私有地であり、地主の許可を得て利用しているため、マナーの遵守が重要です。

パラグライダー

赤岩山には、パラグライダースクールが2校あり、初心者向けの体験フライトからライセンス取得まで対応しています。赤岩山の南西山麓に基地があり、山頂付近がフライト地点となっています。山頂東側には旧フライト基地があり、展望台として利用されています。

参考文献

池田正夫『古賀志の里歳時記 橿と桜は夫婦なり』随想舎、2012年
上杉純夫 著「52 ハイカーとクライマーに人気がある岩の殿堂 古賀志山」、小島守夫・上杉純夫・仙石富英・東和之 編『栃木県の山』山と溪谷社、2015年
佐藤清衛 著「072 古賀志山」、栃木県山岳連盟 監修 編『栃木百名山ガイドブック 改訂新版』下野新聞社、2013年
手塚晴夫『栃木百名山の山名由来』随想舎、2015年
宇都宮ハイキングクラブ 編 編『栃木の山150』随想舎、2013年

関連項目

日本百低山
日光連山
日光表連山
高原山
那須岳
宇都宮市
大谷七名山（御嶽山、多気山、鞍掛山、男抱山、御止山、戸室山）

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