古賀逸策

古賀逸策（こが いっさく）

古賀逸策は、1899年12月5日に佐賀県三養基郡田代村（現在の鳥栖市）に生まれた日本の著名な電気通信工学者である。彼は東京工業大学と東京大学の名誉教授として知られ、長いキャリアを通じて多くの業績を残した。彼の研究は、特に圧電効果と水晶振動子の分野において顕著であり、これにより日本のみならず国際的な電子機器の発展にも大きく寄与した。

教育と初期のキャリア

まず、古賀は熊本中学校、さらに第五高等学校を経て東京帝国大学工学部電気工学科を1923年に卒業し、その後しばらくは東京市電気研究所に勤めた。1929年には東京工業大学の助教授に就任し、その後1939年には教授に昇格する。1930年には東京帝国大学から工学博士を授与されており、その優れた学術的業績が評価されていた。

水晶振動子の発明

古賀の業績の中でも特に重要なのは1932年に発明したR1カット式水晶振動子である。この振動子は従来のものに比べて温度係数が大幅に小さく、温度変化に対して非常に安定した動作を示す。彼は1933年にこの技術に関する特許を取得した。この発明は、無線通信における水晶振動子の性能向上に大きく貢献し、現在でも使用されている技術の基礎を築いた。

また、古賀は分周器（プリスケーラ）を発明し、日本初のクォーツ時計も製作した。この業績により、彼は日本の電子工学界において革新をもたらした。

学問と国際的な認知

1946年には東京大学の教授にも就任し、東京工業大学と東京大学の両大学で教鞭をとる。その後、1960年には両大学から名誉教授としての称号を得ている。彼の研究成果は日本国内に留まらず、世界中の電子機器開発にも影響を与えた。1963年には文化勲章を受章しており、これは彼の業績が広く評価された証である。さらに1971年には日本学士院会員に選出されるなど、彼の学問に対する貢献は数え切れないほどであった。

晩年と評価

古賀は1982年9月2日に82歳で逝去した。彼の死後も、その功績は多くの電気工学者や研究者に受け継がれている。2011年には電気学会から「第4回でんきの礎」の顕彰を受け、彼の業績が現在でも影響を与え続けていることが示された。
彼の主著には『圧電気と高周波』があり、これは圧電技術を学ぶ上での重要な文献となっている。

古賀逸策の人生と業績は、現代の電子機器における水晶振動子の重要性を再認識させるものであり、今後もその影響は続くことであろう。

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