古賀銀行

古賀銀行：佐賀の歴史を彩った銀行

古賀銀行は、1885年（明治18年）に佐賀県で創業した銀行です。佐賀藩の御用商人であった古賀家によって設立され、最盛期には佐賀県内で最大の預金残高を誇るまでに成長しました。しかし、大正時代の恐慌の影響を受け、1933年（昭和8年）に解散し、その歴史に幕を閉じました。

歴史

古賀銀行の創業者である古賀善兵衛（初代）は、父の善平を頭取に据え、両替商から銀行業へと事業を拡大しました。1889年には第七十二国立銀行の営業権を買収して佐賀市に移転し、1898年には普通銀行に転換して佐賀銀行に改称しました。初代善兵衛の死後、二代目善兵衛が事業を引き継ぎ、1906年には本店の新社屋が完成しました。1911年末には預金残高が県内最大となり、1913年には「九州の五大銀行」に数えられるほどの隆盛を誇りました。

古賀家は銀行業に加え、炭鉱業や電力、セメントなど幅広い事業を手がけ、「佐賀財閥」の御三家として名を馳せました。しかし、1920年以降の恐慌により経営が悪化し、1926年には取り付け騒ぎが発生。昭和に入り、1933年に解散という結末を迎えました。

建築

佐賀市柳町には、1906年（明治39年）に竣工した「旧古賀銀行」の建物が残っています。設計は佐賀の建築家、舟木右馬之助が手がけました。彼は佐賀市公会堂や深川造船所の鋳造工場なども設計したことで知られています。本店は1913年の増資の際に増築され、規模が拡大するとともに、煉瓦風タイル張りの外観に改装されました。会社解散後は佐賀商工会議所や佐賀県労働会館などとして利用され、その後佐賀市の所有となり、大正時代の外観・内装に復元されました。現在は佐賀市歴史民俗館として一般公開されており、佐賀県の金融史に関する資料展示やレストラン&カフェが営業されています。

旧古賀銀行の東隣には、創業者の古賀善平の邸宅である「旧古賀家」があります。こちらは1884年の竣工で、料亭として利用された時期を経て、現在は佐賀市の文化財として公開されています。また、古賀銀行創業の地である「旧中村家」も、長崎街道・柳町景観形成地区の文化的価値を有する建物として復元・公開されています。

神埼支店

古賀銀行は、長崎や柳河に続き、1911年に佐賀県神埼町に神埼支店を開設しました。1914年に竣工した建物は、銀行解散後は産院や歯科医院として利用されました。2001年には国の登録有形文化財に登録され、その後空き家となりましたが、市民の保存を望む声を受け、神埼市が取得。復元工事を経て、2017年に一般公開されました。

古賀銀行は短命でしたが、佐賀の経済・文化に大きな影響を与えました。その足跡は、現在も佐賀市歴史民俗館や旧古賀銀行神埼支店などの建物を通して辿ることができます。

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