古野清人

古野 清人

古野 清人（ふるの きよと、1899年10月6日 - 1979年3月1日）は、宗教社会学の分野で多大な功績を残した日本の学者です。彼の研究は、日本における宗教と文化の理解を深める上で重要な役割を果たしました。

経歴

古野は1899年に福岡県に生まれました。1921年に第三高等学校を卒業し、続いて1926年には東京帝国大学の文学部宗教学科を修了します。その後、彼は東京帝国大学付属図書館に嘱託として就職し、さらに帝国学士院および南満州鉄道の東亜経済調査局で働きました。また、1943年に設立された文部省傘下の民族研究所でも重要な役職を担い、戦後は天理語学専門学校校長や九州大学教授となるなど、様々な教育機関で教鞭をとりました。

1948年には九州大学の教授職に就任し、その後、北九州大学の学長としても活躍しました。1960年には東京都立大学の教授となり、1962年には文学博士号を取得します。東京都立大学を定年退職後も、獨協大学や武蔵大学、駒澤大学などで教え続けました。

職業的な功績

彼は1977年より日本学士院の会員に選ばれ、また日本宗教学会や民族学振興会など、多くの学術団体でも要職を持ちました。1979年には死去するまで、宗教社会学の発展に寄与し続け、学界に影響を与えました。

受賞歴

古野の研究が認められた結果、彼は多くの賞を受賞しました。1966年に紫綬褒章を、1970年に勲三等瑞宝章を受賞。1975年には日本学士院賞も授与され、1977年にはフランス政府から教育功労章を受けました。死後には勲二等瑞宝章が授与されました。

研究活動と業績

古野はフランス社会学派のアプローチを取り入れ、日本の宗教社会学の発展に寄与しました。彼の業績は多岐にわたり、特に「キリシタニズムの比較研究」など、宗教心理学や文化研究に関する著作が評価されています。著作は8巻にわたる集大成が存在し、多くの研究者に影響を与えることとなりました。

主な著作

彼の著書には、以下のようなものがあります。

• - 『現代神道概説』(1931年)
• - 『宗教社会学 学説・研究』(1938年)
• - 『宗教心理の研究』(1940年)
• - 『高砂族の祭儀生活』(1945年)
• - 『隠れキリシタン』(1959年)

これらの作品は、宗教の社会的・文化的な側面に関する重要な視点を提供しています。また、彼の研究内容は、例えば原始文化や農耕儀礼に関する調査でも顕著に表れています。

翻訳と編著

古野はまた、著名な外国の文化人類学者や社会学者の作品を日本語に翻訳しました。特に、エミール・デュルケームの影響を受けつつ、彼自身の研究視点を取り入れた作品は多く、学界における意義深い貢献を成し遂げています。彼の翻訳活動は、『宗教心理』や『トテミズムの研究』など、多数にわたり、学術交流の一環としても重要です。

古野清人の生涯は、宗教社会学の発展に向けた真摯な努力の歴史でもあり、彼の業績は今日の学問においても引き続き重要なものとされています。

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