捷運

台湾の捷運：高速鉄道網と都市開発の軌跡

台湾で「捷運（しょううん）」といえば、一般的に地下鉄を指しますが、路面電車やバス・ラピッド・トランジット（BRT）なども含む、都市部を走る軌道交通システムの総称です。中国語の「捷」は「速い」という意味を持ち、英語のラピッド・トランジット（rapid transit）の訳語として用いられています。そのため、台湾独特の用語であり、地下鉄だけでなく、新交通システムやライトレールなども捷運と称されることがあります。

捷運システムの法的定義と位置づけ

台湾における捷運システムは、法的には「大衆捷運法」に基づく国内各都市の軌道交通システムを指します。しかし、台鉄路線の捷運化やBRTなども、広義的には捷運システムとみなされる場合があり、その定義は必ずしも明確ではありません。主管省庁や自治体によっても解釈が異なるため、状況に応じて判断する必要があります。

台湾の捷運：主要都市を結ぶ高速鉄道網

台湾主要都市とその周辺都市を結ぶ鉄道網は、「大衆捷運系統」と呼ばれ、英称はMRT（Mass Rapid Transit）です。例えば、台北大都市圏の高速鉄道網は「台北都會区大衆捷運系統」、略して「台北捷運」と呼ばれ、日本の都市高速鉄道に相当する規模と機能を備えています。

大衆捷運法の改訂と計画審査の厳格化

1988年の台北市捷運の成功をきっかけに、台湾各地で捷運建設の機運が高まりました。しかし、2000年代に入ると財政悪化により、大規模な計画の遂行が困難になりました。そのため、2011年には「大衆捷運系統建設および周辺土地開発計画申請と審査作業のガイドライン」が追加され、計画審査が3段階に厳格化されました。この改訂によって、費用対効果、資金調達方法、都市開発との連携（TOD）、そして地方政府の財政負担などが厳しく審査されるようになりました。

審査の厳格化による変更点

改訂前は、フィジビリティスタディ（F/S）の中央政府による承認が必須ではなく、環境アセスメントのみの審査でした。しかし改訂後は、F/S、総合計画、着工前作業の3段階審査が導入され、それぞれ交通部、国家発展委員会（国発会）、行政院による承認が必要となりました。また、都市計画の変更手続き、議会同意、財務計画の明確化なども必須となりました。これにより、中央と地方の責任分担を明確化し、計画の乱発を防ぐ狙いがあります。

各都市における捷運の現状と計画

現在、台北捷運、高雄捷運、桃園捷運、台中捷運、新北捷運などが開業しており、台南市や彰化県でも建設が進められています。また、高雄市と新北市では、地下鉄整備に続いてLRTの運行も開始されています。

路線一覧

ここでは、開業済み、一部開業済み、建設中・計画中の路線をそれぞれ示します。 多くの路線が計画段階、または建設段階にあり、今後、台湾の都市交通は大きく変化していくことが予想されます。

特に、台北都市圏、桃園市、台中市・彰化県、台南市、高雄都市圏では、複数の路線が計画・建設段階にあり、今後の進展に注目が集まっています。また、各路線の計画・建設・運営には、異なる事業者が関わっているケースが多く、複雑な連携が必要となっています。

輸送量の分類

台湾の捷運は、輸送量（1時間当たり片方向の輸送力）によって高運量（2万人以上）、中運量（5000人以上）、低運量（5000人未満）の3種類に分類されます。LRT導入前にBRTを先行採用し、需要予測に役立てる事例もあります。

乗車ルール

MRTでは、駅構内と車内での飲食が全面的に禁止されています。

まとめ

台湾の捷運は、日本の地下鉄に相当する都市交通システムであり、近年は法整備の強化によって計画の透明性と財政健全性が向上しています。しかし、依然として多くの路線が計画段階または建設段階にあり、今後の発展が期待されると同時に、計画の進捗や財政状況への継続的な注視が必要です。各都市の計画状況、そして今後の整備計画は、台湾社会の発展と密接に関わっていると言えるでしょう。

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