台北捷運淡水線

台北捷運淡水信義線：台北の交通を支える大動脈

台北捷運淡水信義線は、台湾の首都台北市の中正区から北部の淡水区までを縦断する路線です。信義線との直通運転により「淡水信義線」とも呼ばれ、台北の主要な公共交通機関として、市民の生活を支えています。全長22.8kmの路線は、かつて深刻だった交通渋滞と大気汚染を緩和するため、台湾鉄路管理局の既存路線を置き換える形で建設されました。当初は新交通システムの導入が予定されていましたが、先行して開通した文山線の輸送力不足などを教訓に、通常の鉄道方式に変更され、1997年に最初の区間が開通しました。

路線の特徴：アメリカ流地下鉄をモデルに

淡水信義線は、アメリカ合衆国の地下鉄を参考にした設計が特徴です。右側通行（北投駅付近を除く）、標準軌（軌間1,435mm）、直流750Vの第三軌条方式を採用しています。これは、台湾の他の鉄道である台湾鉄路管理局や台湾高速鉄道が左側通行である点と対照的です。全線複線化されており、駅数は21駅あります。路線は、地上区間、地下区間、高架区間と、多様な形態で構成されています。紅樹林駅から北投駅間は地上を走り、民権西路駅から中正紀念堂駅間は地下を通過します。淡水駅から紅樹林駅間、そして北投駅から民権西路駅間は高架区間です。

運行と設備：利便性と安全性を重視

淡水信義線は、現在、全列車が信義線と直通運転を行っています。運行時間は早朝6時から深夜24時30分頃まで、淡水駅～象山駅間、北投駅～大安駅間を結ぶ各駅停車が中心です。平日のラッシュ時は3分間隔、それ以外の時間は4～5分間隔で運行され、深夜は運転本数が減少します。各駅には、次の列車の到着時刻を表示する案内システムが設置され、利用者の利便性を高めています。

駅設備はバリアフリー化が進められており、多くの駅でホームゲートが設置されています。しかし、改札内には売店や自動販売機は少なく、飲食も禁止されています。携帯電話の通話については、トンネル内でも問題なく通話可能ですが、小声での通話を促す案内がされています。駅構内や列車内での広告は、台北捷運の広告または公共広告が中心で、商業広告は限定的です。

車両と車両基地：大容量輸送を実現

運行車両はC301型とC381型で、いずれも6両編成です。1両の長さは23.5m、幅は3.2m、定員は1,914名と、日本のJR在来線の通勤型電車と比較して、列車長は7両分、乗車定員は12両分に相当するほどの輸送力があります。車両基地は北投機廠が設置され、路線の維持管理に貢献しています。

歴史：幾多の変遷を乗り越えて

淡水信義線は1997年の最初の区間開業以来、段階的な延伸を経て1998年に全線が開業しました。当初は新店線、中和線との直通運転も行っていましたが、2012年に中和線との直通運転を中止、2013年には信義線との直通運転を開始しました。2014年には松山線の開業に伴い、新店線との直通運転も完全に廃止されました。2016年には駅ナンバリング制度が導入され、信義線と合わせて通し番号で運用されています。

2001年の台風被害と復旧：災害からの教訓

2001年の台風ナーリーにより、淡水線は甚大な被害を受けました。多くの駅が冠水し、全線運休に追い込まれました。復旧には1ヶ月を要し、この経験は、災害対策の強化に繋がりました。

まとめ：未来を見据えた発展

台北捷運淡水信義線は、台北市の発展とともに歩んできた重要な交通インフラです。これからも、安全で快適な輸送サービスを提供し、市民の生活を支え続ける役割を担っていくでしょう。将来的な延伸計画なども視野に入れ、更なる発展が期待されます。

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