台東区の町名

台東区の町名について

この項目では、東京都台東区における現在の町名一覧と、明治時代初期からの町名の変遷について解説します。台東区は、昭和22年（1947年）に旧下谷区と浅草区が合併して誕生しました。この合併に至るまでの行政区画の変遷と、各時代の町名の変化を詳細に見ていきましょう。

台東区成立までの歴史

江戸から東京へ

1868年、江戸は「東京」と改称され、東京府が設置されました。明治初期には、東京府の行政区画は頻繁に変更され、番組制、大区小区制などの制度が導入されました。1869年には、市街地と農村部を分ける朱引が設定され、市街地は50の区画に分けられました。

行政区画の変遷

1871年には、朱引が見直され、府内は6大区97小区に区分されました。その後、1878年には郡区町村編制法により、下谷区と浅草区が設置されました。1889年には東京市が発足し、下谷区と浅草区は東京市の区となりました。1943年には東京都が設置され、これらの区は東京都直轄となりました。そして、1947年に下谷区と浅草区が合併し、現在の台東区が誕生しました。

関東大震災の影響

1923年の関東大震災は、下谷区と浅草区に甚大な被害をもたらしました。特に浅草区では、震災後の区画整理により、1932年から1941年にかけて大規模な町名統合整理が行われました。これにより、多くの旧町名が廃止され、新たな町名が誕生しました。

旧下谷区の町名

下谷区成立時

1878年の下谷区成立時には75の町丁がありました。明治時代には、町名の変更や編入が頻繁に行われ、1889年には周辺の村の一部が編入されました。1891年には、新たに谷中天王寺町、上根岸町など、6つの町が新設されました。

「下谷」の冠称

下谷区の町名には、当初「下谷」の冠称が付いていましたが、1911年に簡素化のため廃止されました。ただし、一部の町名は、最初から「下谷」を冠していませんでした。関東大震災後の区画整理は下谷区では実施されず、大きな変化はありませんでした。

その後の変遷

1943年には、浅草区との境界変更により、一部の町域が下谷区に編入されました。これにより、南稲荷町や龍泉寺町の一部が浅草区に編入されるなど、両区にまたがる町名が発生しました。

旧浅草区の町名

浅草区成立時

1878年の浅草区成立時には110の町が存在しました。明治初期には、小規模な町の合併や新しい町名の設置が多く行われました。1889年には北豊島郡の一部が編入され、1891年までに6つの新町が設置され、町丁数は116となりました。

関東大震災後の整理

関東大震災による被害からの復興に伴い、1932年から1941年にかけて大規模な町名整理が実施され、多くの旧町名が廃止されました。さらに、昭和39年から41年にかけて住居表示が実施され、町名・町界が再度変更されました。そのため、同一の地名であっても時期によって指し示す範囲が異なるため注意が必要です。

「浅草」の冠称

浅草区の町名には、1911年に「浅草」の冠称が除去されましたが、1947年の台東区成立時に再び付与されました。しかし、一部の町名は例外的に冠称されていません。

北豊島郡からの編入

1889年には、北豊島郡の山谷町、今戸町などが浅草区に編入されました。これにより、新たな町名が設置され、浅草区の町丁数は増加しました。

その他の新町名

震災復興による新町名以外にも、1933年に餌鳥町、1935年に隅田公園が成立しました。これらの町名は、後に廃止されたり、他の町名の一部になったりしています。

馬道（うまみち）の町名変遷

浅草寺近くにあった馬道という町名は、複雑な変遷をたどっています。浅草寺の境内地には、南谷、東谷、北谷という通称の場所があり、これらの場所と周辺の町名が再編され、1877年に浅草馬道町一〜八丁目が成立しました。その後、1934年の町名改正で馬道町一〜八丁目は廃止され、馬道一〜三丁目が成立しました。しかし、これらの町名も1966年の住居表示実施により廃止され、現在の浅草一〜六丁目、花川戸一・二丁目の一部となりました。

住居表示実施直前の町名

1963年時点の旧浅草区の町名と現行町名の対照表も記載されています。1962年に住居表示に関する法律が施行され、1964年から1967年にかけて台東区全域で住居表示が実施されました。

現行行政町名一覧

台東区では、住居表示に関する法律に基づき住居表示が実施されています。住居表示実施前の町名との対照表が掲載されています。

まとめ

台東区の町名は、明治時代から現在に至るまで、複雑な変遷を繰り返してきました。これらの変遷を理解することで、台東区の歴史的な背景や地域ごとの特色をより深く理解することができるでしょう。この解説が、台東区の町名に関する理解の一助となれば幸いです。

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