台東区立書道博物館

台東区立書道博物館

概要

台東区立書道博物館は、東京都台東区根岸に位置する、中国および日本の書道に関する博物館です。本館と中村不折記念館から構成されており、洋画家中村不折が長年にわたり蒐集した書道史研究上、非常に重要な資料を多数所蔵しています。

その収蔵品は約16,000点に及び、甲骨文、青銅器、石経、墓誌、拓本、法帖など多岐にわたります。これらの資料は、古代から現代に至るまでの書道の歴史を物語る上で欠かせないものであり、書道史研究者にとって貴重な宝庫となっています。特に注目すべきは、重要文化財11件（12点）、重要美術品5件を含む点で、これらの文化財は日本の歴史と文化を深く理解するための重要な手がかりとなります。

収蔵品の特徴として、その大部分に何らかの形で文字が書かれ、または刻まれている点が挙げられます。紙に書かれた作品だけでなく、在銘の中国の石仏や銅鏡なども含まれており、文字文化の多様性を感じることができます。

沿革

書道博物館の歴史は、1936年（昭和11年）に初代館長中村不折によって開館されたことに始まります。中村不折の逝去後、1943年（昭和18年）には第2代館長として中村丙午郎が就任し、その後、1990年（平成2年）には第3代館長として中村初子が就任しました。

1952年（昭和27年）には博物館法指定博物館となり、中村不折宅址は東京都史跡指定を受けました。1995年（平成7年）には書道博物館が閉館し、台東区へ寄贈されましたが、1999年（平成11年）に中村不折記念館が完成し、2000年（平成12年）に台東区立書道博物館として再開館しました。2013年（平成25年）には、庭園内に明治時代に建てられた不折の蔵が復元され、歴史的な雰囲気を今に伝えています。

主な収蔵品

重要文化財

春秋左氏伝残巻 紙背妙法蓮華経馬明菩薩品第三十 1枚（晋）
論語鄭注残巻 1巻（唐）
三国志 呉志第十二残巻 1巻（晋）
三国志 呉志第廿残巻 1巻（唐）
抱朴子 内篇巻第一残巻 1巻（六朝）
荘子 天運篇第十四、知北遊篇第廿二 2巻（唐）
法句譬喩経 巻第三残巻 甘露元年奥書 1巻（姚秦）
菩薩蔵経 第一残巻 承平十五年大涼王大且渠安周所供養経 1巻（北魏）
摩訶般若波羅蜜経 巻第十四残巻 梁達安王蕭偉願経 1巻（梁）
宋版十誦尼律 巻第四十六 開宝七年奉勅雕造の記並びに大観二年の印造記あり 1巻（宋）
捜神記 句道興撰 敦煌出土 1巻（唐）

重要美術品

銅製神獣鏡 呉建興二年銘
銅製獣首鏡 魏甘露五年銘
銅製戈 廿九年偸氏云々の銘
銅製戈 廿九年武脩云々の銘
瓦缾（瓦瓶）永寿二年漆書銘

その他

『自書告身帖』・『多宝塔碑』（顔真卿）
『地黄湯帖』（王献之）
中村不折作品：臨顔真卿裴将軍詩軸、春江釣魚、他多数

これらの収蔵品は、書道の歴史や文化を深く理解するための貴重な資料であり、訪れる人々に深い感動を与えています。

所在地・アクセス

所在地: 東京都台東区根岸2-10-4
アクセス: JR東日本鶯谷駅北口より徒歩5分

開館時間・休館日・料金

休館日: 月曜日、年末年始、特別整理期間
入館料: 有料
詳細は公式サイトをご確認ください。

参考資料

『台東区立書道博物館パンフレット』

外部リンク

台東区文化ガイドブック・書道博物館に学ぶ
台東区ヴァーチャル美術館
ACT-台東区芸術文化財団
* ウィキメディア・コモンズには、台東区立書道博物館に関するカテゴリがあります。


書道博物館は、書道に興味がある方はもちろん、歴史や文化に触れたい方にとっても、非常に魅力的な場所です。ぜひ一度訪れて、その貴重なコレクションと歴史を感じてみてください。

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