台湾同化会

台湾同化会とは

台湾同化会は、1914年（大正3年）に日本統治下の台湾で設立された民間団体です。その目的は、日本人と台湾人の親睦を深め、両者の同化を推進することにありました。総裁には、板垣退助が就任しました。

設立の背景

1914年2月、林献堂らの招きで台湾を訪問した板垣退助は、台湾各地を視察しました。その結果、彼は台湾人の地位向上を目指し、「台湾の統治は同化主義をとるべき」と主張しました。ここで言う「同化」とは、台湾人を日本人と同様に扱い、平等無差別の待遇を与えることで、台湾人に日本臣民としての自覚を促し、台湾を日本に永続させることを目的とするものでした。板垣は帰国後、政府要人と協議を重ね、同年12月に再び訪台し、林献堂、蔡培火、蔡恵如らと共に、台北で「台湾同化会」の設立大会を開催しました。500名以上の参加者を集めたこの大会で、板垣が総裁に選出されました。

団体の趣旨と総督府の弾圧

同化会の趣旨は、台湾人を日本人同様に教育し、日本人と同等の権利と待遇を与えることでした。しかし、この運動に参加した台湾人の真の目的は、日本への同化よりも、台湾人の待遇改善にありました。台湾総督府は、この台湾人に日本人と同様の権利を与えるという考え方を危険視し、同化会への圧力を強めました。板垣は台湾から追放されるようにして去り、1915年1月26日には、台湾総督府は治安を乱すという理由で、同化会に強制解散を命じました。その活動期間は約1ヶ月という短期間で終わりを告げました。

台湾同化会の意義

同化会は、日本統治時代の台湾における政治・社会文化活動において、最初期の本格的な団体として重要な意義を持ちます。歴史家の矢内原忠雄は、著書「帝国主義下の台湾」で同化会を「台湾近代的民族運動の端緒」と評し、「この運動が台湾の政治的発展に一転機を画した」と評価しました。また、「この運動に参加した台中の資産家・林献堂氏を中心に、台湾人の民族運動が起こり、私立台中中学校の設立請願はその第一声であった」と述べています。

台湾人による政治・社会文化活動への影響

同化会の設立は、台湾史上初の「台湾議会」発足の提案につながり、その後の林献堂らによる活動へと繋がりました。同化会発足大会での板垣退助の演説は、現在も続く台湾議会（台湾の国会）の起源とされています。短期間で解散に追い込まれた同化会でしたが、その意義は台湾の歴史において非常に大きいと言えるでしょう。

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