台湾総督府鉄道3形蒸気機関車

台湾総督府鉄道3形蒸気機関車：失われた鉄道遺産の詳細

3形蒸気機関車は、かつて台湾総督府鉄道に所属していたタンク式蒸気機関車です。その起源は清国政府が1889年と1893年にイギリスのホーソン・レスリー社から輸入した6両の機関車に遡ります。これらの機関車は、車軸配置2-6-2(1C1)の2気筒単式飽和式小型サドルタンク機関車であり、台湾の鉄道黎明期を支えました。

特徴的な外観と構造

3形の特徴は、サドルタンクが運転室から離れてボイラー缶胴上に配置されている点、そして前端梁から後端梁まで一直線に伸びた歩み板と煙室扉前の広いスペースでした。ただし、この形態は後年の改造によるもので、当初は台枠が斜めに切り取られ、先輪が剥き出しになっていました。連結器の高さ変更とグールド式自動連結器への交換の際、1902年頃にこの改造が行われたと推定されています。また、製造時期によって前端梁の形状やボイラーの太さに差異が見られました。

日本統治時代とその後の変遷

1895年の日清戦争後、台湾が日本に割譲されると、これらの機関車は日本陸軍に接収され、その後台湾総督府鉄道に引き継がれました。1900年には台湾南部の打狗・台南間に鉄道が開業し、南北に分断された鉄道を統合するため、1902年に機関車の番号が再編されました。北部所属の機関車には偶数番号が付与されましたが、1905年には再び旧番号に戻されました。

配置は主に北部でしたが、一時的に南部へ移動した車両もありました。1918年には宜蘭線開業に伴い、一部が宜蘭庫へ転属し、1920年には全車が宜蘭に集結しました。

終焉とその後

大正末期になると老朽化が進み、1927年に最初の廃車が発生、1929年には全車が運用を離れ休車となりました。1931年には残りの車両も廃車となり、そのうち2両が大日本製糖に譲渡され、虎尾製糖工場で使用されました。「掣電」のプレートは台北工場で長らく忘れ去られていましたが、1935年の工場移転時に発見され、現在も保存されています。

主要諸元

全長：9,104mm
全高：3,404mm
全幅：2,261mm
軌間：1,067mm
車軸配置：2-6-2(1C1)
動輪直径：910mm
弁装置：スチーブンソン式基本型
シリンダー（直径×行程）：305mm×457mm
ボイラー圧力：8.5kg/cm2
火格子面積：0.77m2
全伝熱面積：48.74m2
煙管蒸発伝熱面積：46.65m2
火室蒸発伝熱面積：2.09m2
小煙管（直径×長サ×数）：45mm×3,089mm×108本
機関車運転整備重量：25.66t
機関車空車重量：21.44t
機関車動輪上重量（運転整備時）：18.0t
機関車最大動輪軸重（第2動輪上）：9.32t
水タンク容量：2.27m3
燃料積載量：0.95t

3形蒸気機関車は、台湾の鉄道史における貴重な遺産であり、その足跡は今もなお語り継がれています。

参考文献

寺島京一「台湾鉄道の蒸気機関車について」1988年 レイルNo.23 エリエイ出版部 プレス・アイゼンバーン刊 ISBN 4-87112-173-9
「全國機關車要覧」1929年 車輛工學會（1993年 アテネ書房復刻）
* 小熊米雄「舊 台灣總督府鉄道の機關車(2)」鉄道ピクトリアル 1957年8月号(No.73)

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