史惟亮

史 惟亮 - 作曲家であり民族音楽学者

史惟亮（し いりょう、スー・ウェイリャン）は、1925年9月3日に遼寧省営口市に生まれました。彼は台湾の音楽シーンにおいて重要な役割を果たし、作曲家及び民族音楽学者として知られています。特に、台湾の民謡の収集と研究に多大な貢献をしました。

生涯の歩み

彼は抗日戦争の最中、中国国民党に所属し、地下活動に従事していました。この時期、彼は「石立」や「作基」といった偽名を使い、抗日運動に尽力しました。その後、第二次世界大戦後に歴史学を学ぶために東北大学に入学しますが、19歳で北平国立芸術専科学校に転学し、音楽に専念することになりました。彼の音楽キャリアは遅いスタートでしたが、その後の活動は多岐にわたります。

国共内戦の勃発により、史は「流亡学生」となり、1949年に台湾省立師範学院（後の国立台湾師範大学）に転校しました。その後、教職に就き、台湾の音楽教育に貢献しました。1955年に留学試験に合格した史は、1958年にスペインのマドリード音楽院に渡りますが、すぐにウィーン音楽院へ転校します。留学中は生活費を稼ぐために鉱山や工場で働き、その苦労から「現代の玄奘」と表現されるほどでした。

1965年に台湾に戻った史は、国立台湾芸術専科学校や文化学院などで教鞭を執り、さらには中国青年音楽図書館の設立や民謡の収集に取り組みました。特に、中國民族音樂研究中心の設立においては、許常恵などと共に民謡の収集を推進しました。1968年にはボン大学からの招きで「中国音楽センター」の設置に協力し、1973年から1974年まで台湾省立交響楽団の団長にも就任しました。

史の生活は嚴格で、酒や煙草は一切控えるものでしたが、残念ながら1976年に台北市で肺癌のために50歳で逝去しました。

音楽的業績

作曲家としての彼の代表作には、クラリネットとフルートのための二重奏「調和」、独唱曲「小祖母」、独唱曲「青玉案」、及び「国立台湾師範大学附属高級中学校歌」などが含まれます。

また、歌曲、合唱曲、ピアノ曲、室内楽、管弦楽、舞台音楽や映画音楽といった多種多様な分野にわたって作品を残しています。さらに、1966年には留学生活を振り返った著書『一個中國人在歐洲』を出版し、それは彼の経験を伝える貴重な資料となっています。

最後に、息子の史擷詠も著名な作曲家として知られており、史惟亮の音楽的影響は次世代にも脈々と受け継がれています。彼の業績は現在も台湾の音楽界に重要な足跡を残し続けています。

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