史都蒙

史都蒙と第9次渤海使の歴史的背景

史都蒙（し ともう、生没年不詳）は、渤海国の大使として重要な役割を果たした人物です。彼は第9次渤海使の大使であり、その派遣は日本との外交関係を深めるために行われました。渤海国の国王である大欽茂からの祝賀と喪の通知を持って日本に赴くことが目的でした。

渤海使の派遣

宝亀7年（777年）12月、史都蒙は187名からなる使節の一行を率いて日本へ向かいました。しかし、出発して間もなく暴風に見舞われ、121名が命を落とすという甚大な災害が発生しました。生存者は46人しかおらず、その中には越前国の江沼郡と加賀郡に漂着した30名が含まれていました。遺族に対しては地元民が丁重に弔いをし、必要な物資を供給することになりました。

上陸後の活動

使節団は日本に無事上陸した後、朝廷における記録にもとづくと、彼らは朝廷から问責を受けました。過去の約束に従って大宰府に向かうべきところを、風に流されてしまったと弁明し、処罰には応じる姿勢を見せました。それでも史都蒙は、同年2月に30人の仲間とともに入朝を果たし、天皇に拝謁できたことを喜びました。この時の彼の努力とリーダーシップは、他の生存者にとっても大きな支えとなりました。

その後、4月には史都蒙らが東京に入ると、太政官から使者が派遣され、使節団への慰問が行われました。一行は渤海の特産物を献上し、また国王からのメッセージを伝え、日本に新たな天皇が即位したことを報告しました。天皇は喜び、渤海国の繁栄を願いました。これにより、史都蒙は正三位の位を与えられ、国王も報酬を得ました。

帰国と後の展開

使節団は5月末に帰国することとなりましたが、帰途の船が航路を見失い、異境に漂着する事態となりました。その結果、船は破損し、帰国の手段を失ってしまいます。渤海側で新たに2艘の船が建造され、やっと第10次の渤海使が派遣されて帰国する運びとなりました。このような苦労の中で、史都蒙の尽力は日本と渤海との交流を深める基盤となりました。

史都蒙の影響

史都蒙の派遣と帰国の運命は、彼と彼の一行にとって大変困難な道のりでしたが、その中で示された強い精神とリーダーシップは両国における外交関係の未来に影響を与えました。彼の行動は、日本と渤海国の歴史において重要な出来事となり、この時の使節団の経験が以後の交流にも影響を及ぼしたと考えられます。また、この彼らの活動は後の史書にも記録され、高い評価を受けています。

このように、史都蒙の一行の外交活動は、自由な外交の道を開いた重要な一歩となったことを示しています。

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