右巻き、左巻き

巻きと巻き:巻き方の複雑な世界



巻き」「巻き」という言葉は、日常的に使われる一方で、その定義は意外と複雑です。巻き方向を表すこれらの言葉は、渦巻きや螺旋など、様々な対象に使われますが、その定義は統一されておらず、混乱を招く原因となっています。この記事では、巻き方の種類、それぞれの呼び名、具体的な例を挙げながら、巻きと巻きの複雑な世界を解説します。

巻き方向を表す様々な表現



巻き方向を表す言葉として、日本語では以下のようなものがあります。

Z撚り、S撚り
Z巻き、S巻き

ねじ、ねじ

これらの表現は、対象や分野によって使い分けられます。また、「巻く」という動作と「回る」という動作が似ているため、時計回り、反時計回りといった表現も使われますが、これも混乱の原因となることがあります。

英語では、以下のような表現があります。

right-handed, left-handed
s twist, z twist
Helicity, Chirality
dextrorse, sinistrorse(主に植物用語)

日本語の「巻き」を直訳したright-windingという表現は、ほとんど使われません。

巻き方の種類:渦巻きと螺旋



巻き、巻きという区別が用いられる対象は、大きく分けて渦巻きと螺旋の2種類があります。

渦巻


渦巻きは平面上の巻きであり、中心から外側に向かう際に、時計回りに見えるものと、反時計回りに見えるものがあります。渦巻きを見る方向によって巻き方が変わるため、どちらから見るかを指定する必要があります。

螺旋


螺旋は、円柱の軸方向に進みながら一定方向に巻きつく形状です。螺旋の巻き方には、

上と下を結ぶもの
上と下を結ぶもの

の2種類があります。この螺旋の巻き方の呼称は、特に混乱を招きやすい部分です。

螺旋の巻き方の呼び名



螺旋の巻き方には、以下のような呼び名があります。

Z巻き、S巻き:アルファベットのZ、Sの形になぞらえた呼び方です。Z巻きは上から下に向かう巻き方、S巻きは上から下に向かう巻き方を指します。主にロープやケーブル、ワイヤーなどで使われます。
を握り、親指を立てたとき、親指の方向に螺旋が進むとして、握った四本の指が巻く方向を指します。Z巻きが、S巻きがとなります。学術的な分野で使われることが多いです。
ねじ、ねじ:ねじの回転方向を基準にした呼び方です。ねじは時計回りに回すと進むねじ、ねじは反時計回りに回すと進むねじを指します。Z巻きがねじ、S巻きがねじに相当します。

巻き、巻き」の混乱



特に、つる植物の巻き方を表す場合、Z巻きを巻きと呼ぶ場合とS巻きを巻きと呼ぶ場合の両方が使われており、混乱の原因となっています。

Z巻きを巻きと呼ぶ根拠螺旋を縦に置いたとき、前の部分が上がりながらに向かうため、あるいはねじからの連想。
S巻きを巻きと呼ぶ根拠:巻き付くもの自身の立場から、上へ行きながらへ巻いているから。

辞書による説明



一般的な辞書では、「巻き」の説明が十分でない場合や、項目自体がない場合があります。一方、「巻き」は「変わり者」の意味と関連付けられて説明されていることが多いです。渦巻きの場合、「巻き」を反時計回りと定義しても、外側に向かうのか内側に向かうのかを明確にしないと、説明としては不十分です。

螺旋の呼称のまとめ



以下に、螺旋の巻き方の呼称をまとめます。

巻き、巻き:日常的に使われるが、定義が統一されていない場合がある。図鑑などで確認が必要。
:矛盾のない定義で、学術分野で国際的に使われる。
S撚り、Z撚り、紐、ロープ、ワイヤーなど専用の矛盾のない定義。
* S巻き、Z巻き:矛盾のない定義。主に、紐、ロープ、ワイヤー等に使われる。

具体例



巻貝


巻貝は、尖った部分を上にして見ると、中心から外側に向かう際に、時計回りのものを巻きと呼ぶ習慣があります。多くは巻きです。

つる植物


つる植物の巻き付き方向は、巻き、巻きの両方が使われています。近年は、Z巻きを巻きとすることが多くなっています。

ねじ


ねじは、時計回りに回すと奥に進むものをねじと呼びます。ほとんどのねじはねじです。

紐状のもの


、紐、ロープ、ワイヤーなどでは、Z撚り、S撚りの名称が使われます。撚り合わせの組み合わせは、実用上重要です。

DNA


DNAの二重螺旋は、B型、A型は(Z巻き)、Z型は(S巻き)です。

素粒子


素粒子物理学では、粒子のスピンの回転方向が重要です。ニュートリノ巻きの粒子しか見つかっていません。

その他


サインポールはZ巻き()が多いです。紋はの区別がありますが、意味は一定ではありません。つむじは、時計回りのものを巻きと呼ぶ習慣があります。

人物、性格



巻きの人」は、変わり者や捻くれ者という意味で使われることがあります。

考察



日常生活では、渦巻螺旋の巻き方向が厳密に問われることは少ないため、多くの人は巻きの方向を区別する明確な概念を持っていません。このことが、巻き方向に関する混乱を招いている一因と考えられます。

まとめ



巻き、巻きという言葉は、日常的に使われますが、その定義は対象によって異なり、混乱を招きやすいものです。巻き方の種類、それぞれの呼び名、具体的な例を理解することで、より正確に巻き方向を表現することができるでしょう。

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