司法省 (フランス)

フランス司法省：司法制度の中核を担う省庁

フランス司法省（Ministère de la Justice）は、フランスの司法制度の運用を監督する、政府における重要な省庁の一つです。本省は、パリ1区の象徴的なヴァンドーム広場に位置するブールヴァレ館に所在し、その所在地から「ヴァンドーム広場（la Place Vendôme）」は司法省の代名詞としても知られています。

概要

過去には「司法・自由省（Ministère de la Justice et des Libertés）」と称されていた時期もありましたが、現在は「司法省（Ministère de la Justice）」という名称に復しています。司法省の中央行政機関は、「大法官府（chancellerie）」とも呼ばれ、これはアンシャン・レジーム期の宰相に相当する大法官の役所に由来します。また、司法省の長である司法大臣は、アンシャン・レジーム期から受け継がれた「国璽尚書（Garde des Sceaux）」という特別な職名を帯び、国の象徴である国璽を管理する役割も担っています。

任務

司法省は、多岐にわたる重要な任務を遂行しています。

法案および命令の作成: 家族法、国籍、民事法、刑事法など、社会の根幹をなす分野における法案や命令の作成を行います。
司法機関の管理: 裁判所や関連機関の人事、設備、庁舎、情報機器など、司法機関の財産全般を管理します。
人々の支援: 司法当局の判断に委ねられた人々、例えば非行少年、被虐待児童、受刑者などの支援を行います。
公共政策の決定と実施: 犯罪被害者の支援、刑事政策、組織犯罪の取締り、法と司法へのアクセスなど、司法に関する公共政策を決定し、実施します。

組織

司法省の中央行政機関は、以下の組織で構成されています。

事務総局（Secrétariat général）
司法機関総局（Direction des services judiciaires）
民事・印璽局（Direction des affaires civiles et du Sceau）
刑事・恩赦局（Direction des affaires criminelles et des grâces）
刑務所管理総局（Direction de l'administration pénitentiaire）
青少年司法保護総局（Direction de la protection judiciaire de la jeunesse）

国璽尚書兼司法大臣は、これらの組織を統括し、司法機関監督官（inspecteur général des services judiciaires）の補佐を受けながら、司法行政を推進します。

大臣

司法大臣は国璽尚書を兼任し、中央行政機関に加え、官房や報道官をその指揮下に置いています。歴代の司法大臣は、フランスの司法制度の発展に大きく貢献してきました。

職員

2021年時点での司法省の職員数は8万9882人にのぼり、その規模の大きさからも、司法省がフランス社会において重要な役割を果たしていることがわかります。

司法省は、フランスの法制度を支え、国民の権利と自由を守るために、多岐にわたる活動を展開しています。

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