司馬柬

司馬柬（しば かん）

司馬柬（262年 - 291年）は、西晋の皇族であり、字を弘度と称しました。西晋の初代皇帝である武帝、司馬炎の第3子として生まれ、生母は恵帝（司馬衷）と同じく楊元后です。彼は兄弟の中でも特に父帝から寵愛を受けていたと伝えられています。

生涯

司馬柬は、泰始6年（270年）に汝南王に封じられたことからそのキャリアをスタートさせました。その後、咸寧3年（277年）には南陽王に移封され、左将軍、右軍将軍、散騎常侍といった官職を歴任しました。特に左将軍としては、斉王司馬攸の旧邸に住まいを構えたことで、当時の人々の注目を集める存在となりました。

泰康9年（289年）には、秦王に転じ、仮節、鎮西将軍、西戎校尉、都督関中諸軍事といった要職を任されました。武帝の意向により、楚王司馬瑋や淮南王司馬允と共に自身の領国へ赴任することになります。これは、皇族が地方を統治することで、皇室の権威を示す狙いがあったと考えられます。

恵帝が即位すると、司馬柬は洛陽に戻り、驃騎将軍、開府儀同三司に任じられ、侍中の位も加えられました。さらに、録尚書事として国政にも深く関与することになります。元康元年（291年）には、大将軍にまで昇進しました。

しかし、外戚である楊駿一派が誅殺されたことに心を痛め、自身の不安定な立場を憂慮した司馬柬は、武帝の遺命であるとして領国への帰還を願い出ました。しかし、汝南王司馬亮は彼を洛陽に留め、共に政治を補佐するよう説得しました。

その年の9月、司馬柬は亡くなりました。その死は多くの人々から惜しまれたと伝えられています。後継者となる男子がいなかったため、淮南王司馬允の子である司馬郁を養子に迎えましたが、司馬郁自身も後に司馬允と共に殺害されてしまいます。その後、呉王司馬晏の子である司馬鄴が改めて後継者となりました。

司馬柬は、西晋初期の政治において重要な役割を果たした人物であり、その生涯は、当時の皇族の権力闘争や政治情勢を色濃く反映していると言えるでしょう。

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