楊駿

楊駿（よう しゅん）

楊駿（生年不詳 - 291年）は、西晋時代の権臣。字は文長。武帝司馬炎の外戚として権勢を振るったが、恵帝の皇后賈南風との対立の末に誅殺された。彼の死は八王の乱の端緒となった。

生涯

武帝の外戚として台頭

姪の楊艶が武帝の皇后であったことから、早くから朝廷で取り立てられた。高陸県令、驍騎鎮軍二府司馬を歴任。274年に楊艶が病死すると、彼女の遺言により娘の楊芷が後宮に迎えられ、皇后の有力候補となる。276年に楊芷が正式に皇后となると、楊駿は外戚として破格の抜擢を受け、鎮軍将軍、車騎将軍と昇進し、臨晋侯に封じられた。

天下統一を成し遂げた武帝が政務を疎かにすると、楊駿は弟の楊珧・楊済と共に権勢をほしいままにし、『天下三楊』と称された。楊駿は自らを支持する者ばかりを取り立てたため、吏部尚書山濤らは武帝に楊駿の重用を諫めたが、容れられなかった。

権力掌握と専横

289年、武帝が病に倒れると、楊駿は司馬亮を地方へ追いやり、皇族を左遷。290年、衛瓘を疎ましく思い、その子を罪に陥れて離婚させた。武帝の病状が悪化すると、近侍を意のままに入れ替え、遺詔を改竄して太尉・太子太傅などの要職を独占した。武帝の死後、恵帝が即位すると、楊駿は朝政を専断する。

賈南風との対立と最期

皇后賈南風は楊駿の専横を憎み、孟観・李肇らと謀って楊駿の誅殺を計画。楚王司馬瑋を洛陽に呼び寄せ、協力を得る。291年、孟観らは恵帝に楊駿の謀反を訴え、楊駿府を焼き払う。雲龍門を焼いて抵抗しようという進言も、楊駿は魏の明帝が建てた門であるという理由で拒否。見捨てられた楊駿は馬小屋に逃亡するも捕らえられ、殺害された。楊駿の一族は皆殺しとなり、皇太后楊芷も庶人に落とされた後、殺害された。

楊駿は暗愚でありながら、無闇に人を殺すことはなかったとされる。

墓誌と弘農楊氏

楊駿の墓誌には、彼の祖父が蓩亭侯の楊衆、曾祖父が楊敷であることが記されている。これにより、楊駿が楊震の5世孫であることが判明し、弘農楊氏との繋がりが確定した。

逸話

隠者の孫登を迎え入れた際、孫登は一切答えず、楊駿が贈った着物を切り裂いて見せた。これは、楊駿の死を予言したのだと後になって解釈された。

出典

『晋書』巻四十 列傳第十 楊駿
『資治通鑑』

参考文献

『晋書』巻四十 列傳第十 楊駿
『資治通鑑』

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