司馬瑋

司馬瑋（しば い）

司馬瑋（271年 - 291年）は、西晋の皇族で八王の乱の主要人物の一人です。武帝の息子として生まれ、その果断さと鋭敏さで知られていました。しかし、政争に巻き込まれ、短くも波乱に満ちた生涯を終えました。

生涯

若き日の才能

司馬瑋は幼い頃からその才能を発揮し、咸寧3年（277年）には始平王に封じられました。その後も順調に出世を重ね、太康10年（289年）には楚王に改封され、荊州の軍事を統括する要職に就きました。

賈南風との結託

司馬瑋の運命を大きく変えたのは、皇后賈南風との結託です。賈南風は外戚の楊駿を排除するために、司馬瑋に協力を求めました。司馬瑋はこれに賛同し、洛陽に入ってクーデターを支援します。楊駿一派が排除された後、司馬瑋は衛将軍などの要職に就き、国政に深く関与するようになりました。

司馬亮・衛瓘の誅殺

権力を握った司馬瑋でしたが、その酷刑と凶暴な性格から朝臣たちの反感を買っていました。汝南王司馬亮と太保衛瓘は司馬瑋から兵権を奪おうと画策しますが、これが司馬瑋の怒りを買い、対立が表面化します。司馬瑋は賈南風と結び、司馬亮と衛瓘を排除する計画を実行しました。

賈南風は恵帝の詔を偽造し、司馬瑋に司馬亮と衛瓘の逮捕を命じました。司馬瑋はこれに従い、司馬亮と衛瓘を殺害しました。この事件は朝廷に大きな衝撃を与え、司馬瑋の権勢は頂点に達しました。

最期

しかし、司馬瑋の栄光は長くは続きませんでした。賈南風は司馬瑋が権力を掌握することを恐れ、彼を排除することを決意します。張華と謀議し、司馬瑋が詔を偽造して司馬亮と衛瓘を殺害したという噂を流しました。恵帝はこれを受け、司馬瑋の逮捕を命じます。

司馬瑋は逃亡を試みましたが、捕らえられ廷尉に送られました。朝廷は司馬瑋を死刑に処し、彼の側近たちも処刑されました。司馬瑋は処刑される前に、自らの冤罪を訴えましたが、聞き入れられませんでした。享年21歳でした。

死後の名誉回復

司馬瑋の死後、賈南風が誅殺されると、彼の名誉は回復され、驃騎将軍が追贈されました。また、彼の息子である司馬範は襄陽王に封じられました。

司馬瑋は、その短い生涯の中で、西晋の政争に翻弄された悲劇的な皇族でした。彼の行動は八王の乱の遠因となり、西晋の衰退を招いたと言えるでしょう。

宗室

襄陽王 司馬範
毗陵王 司馬儀（長兄の司馬軌の養子）

参考文献

『晋書』巻59 列伝第29
『資治通鑑』巻82、巻83

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