合邦辻閻魔堂

合邦辻閻魔堂とは

合邦辻閻魔堂（がっぽうがつじえんまどう）は、大阪市浪速区にあるお堂です。融通念仏宗の寺院である西方寺の境内に建てられています。

合邦辻について

合邦辻は、現在の松屋町筋（下寺町筋）と国道25号線（竜田越奈良街道）が交わる場所（公園北口交差点）の古い呼び名です。この場所は、かつて「合法辻」とも書かれており、聖徳太子が物部守屋と仏教について議論した場所であるという言い伝えがあります。また、「四天王寺の学校があった場所が訛った」という説など、地名の由来には様々な俗説があります。

江戸時代には、大坂の南郊、摂津国東成郡天王寺村の一部でした。合邦辻は、四天王寺の西門の西側に位置し、逢坂（天王寺七坂の一つ）の入り口にあたります。竜田越奈良街道はここから東へ、四天王寺の門前まで上町台地の斜面を上っており、坂道の右側には一心寺、左側には安居神社があります。

1897年、この一帯は大阪市（当初は南区）に組み込まれ、市街地として発展しました。

閻魔堂と西方寺

閻魔堂も聖徳太子が建てたと伝えられています。かつては大寺院でしたが、戦火によって焼失し、辻堂として再建されました。江戸時代に刊行された『摂津名所図会』には、当時の様子が描かれています。元々は現在の交差点の南東側にありましたが、明治時代の中頃に道路拡張のため、交差点の北西にある西方寺の境内に移されました。

西方寺は、融通念仏宗の寺院で、山号は暁月山、本尊は阿弥陀如来です。第二次世界大戦で焼失しましたが、戦後に再建されました。

閻魔堂は国道25号線沿いに建てられており、『摂州合邦辻』ゆかりの地として「玉手之碑」（玉手は『摂州合邦辻』の登場人物）が建てられています。

大衆文化における合邦辻閻魔堂

合邦辻閻魔堂は、文楽や歌舞伎の演目『摂州合邦辻』（1773年初演）の舞台となっています。この作品では、主人公が重い病気を閻魔堂に祈願して治すという話から、病気平癒を願う人々の信仰を集めました。作品中では、「合邦」という人物がこの地に庵を構え、閻魔堂を建立したという設定になっています。

『摂州合邦辻』は、俊徳丸伝説を元にした一つとされています。俊徳丸を主人公にした謡曲『弱法師』は、「極楽の東門に通じる」とされた四天王寺の西門を舞台としています。

また、歌舞伎『絵本合法衢』（1810年初演）にも登場します。この作品は、1656年に加賀大聖寺藩の前田大学之助が仇討ちで殺された事件をベースにしていますが、『摂州合邦辻』の人気を受けて作られ、『摂州合邦辻』のパロディも含まれています。

このように、合邦辻閻魔堂は、歴史的な背景だけでなく、大衆文化にも深く関わっている場所です。

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