東成郡

東成郡：大阪の礎を築いた郡の物語

東成郡は、かつて大阪府に存在した郡です。現在の大阪市中心部の広範囲をその領域に含み、古代から近世、そして近代に至るまで、大阪の歴史と深く関わってきた重要な地域です。本稿では、その歴史と変遷について詳細に解説します。

古代からの歴史：難波大郡から東成郡へ

『日本書紀』には、大阪湾に突き出した上町台地の東部を「難波大郡」、西部を「難波小郡」と記されています。大化の改新による郡の分類では、東部の難波大郡の方がはるかに規模が大きく、人口も多かったことがうかがえます。和銅6年（713年）、難波大郡は「東生郡」と改称されました。「生」は「生る」に通じ、「上町台地の東に新しく生まれた集落」を意味すると言われています。一方、難波小郡は西生郡（後に西成[[郡]]）と名付けられました。

中世から近世：欠郡と表記の変遷

室町時代には、神崎川以南の西生郡、東生郡、住吉郡の3郡をまとめて「欠郡」と呼び、分郡守護が置かれました。中世以降は「東生郡」と「東成郡」の表記が混在するようになり、江戸時代中期以降は「東成郡」が一般的になります。

近世以降の変遷：明治時代の行政改革

明治時代に入ると、東成郡は幾度もの行政区分変更を経験します。府県統合や、大区小区制、郡区町村編制法の施行など、様々な制度改革が郡の領域や行政機構に影響を与えました。特に、明治22年（1889年）の町村制施行、明治29年（1896年）の郡制施行、そして明治30年（1897年）の大阪市編入は、東成郡の歴史における大きな転換点となりました。

町村制施行により、東成郡は複数の町村に分割されました。その後、段階的に大阪市への編入が進み、最終的に大正14年（1925年）4月1日、東成郡は廃止されました。現在の大阪市東成区は、この東成郡を継承する地域として存在しています。

大阪市編入と東成区の成立

明治期から大正期にかけて、東成郡の町村は段階的に大阪市に編入されていきました。最終的に、大正14年（1925年）に東成郡は廃止され、その区域の大部分は大阪市東成区となりました。この編入は、東成郡の歴史の終焉であり、同時に大阪市の拡大発展を象徴する出来事でもありました。東成区は、かつて東成郡の中心地であった天王寺村以外の区域を継承した、歴史と伝統を受け継ぐ地域です。

まとめ：大阪発展の原動力

東成郡は、古代から近世、そして近代に至るまで、大阪の歴史と発展に大きく貢献しました。上町台地東部という恵まれた立地条件を生かし、多くの集落が形成され、繁栄を続けました。明治時代の行政改革を経て大阪市に編入された後も、東成区としてその歴史と文化を継承し、現代の大阪を支える重要な地域として発展を続けています。東成郡の歴史を学ぶことは、大阪の歴史を理解する上で不可欠な要素です。 その変遷をたどることで、現代大阪の姿をより深く理解することができるでしょう。

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