吉井幸蔵

吉井幸蔵

吉井幸蔵（よしい こうぞう、1856年1月2日 - 1927年10月7日）は、日本の海軍軍人、政治家であり、伯爵の爵位を持つ人物です。薩摩藩士である吉井友実の長男として生まれ、海軍少佐、貴族院議員、そして水難救済会の会長を歴任しました。

生涯

幼少期から海軍入隊まで

吉井幸蔵は、幼少期にイギリスへ私費留学し、その後海軍生徒となりました。アメリカ、ドイツ、イギリスでの留学を経て、1877年に帰国。1881年に海軍兵学校を卒業後、海軍少尉に任官しました。

海軍軍人としてのキャリア

「比叡」分隊長、軍事部、参謀本部海軍部員などを経て、海軍大臣に随行してヨーロッパ各国へ出張するなど、海外との交流も経験しました。その後も、海軍参謀部副官、参謀本部出仕などを歴任し、「扶桑」分隊長、「摩耶」「千代田」「磐城」の各分隊長を歴任。日清戦争では「秋津洲」分隊長として出征し、豊島沖海戦、黄海海戦に参加しました。1894年12月には海軍少佐に進級し、「武蔵」副長に任命されました。

予備役編入後

1895年に侍従武官となり、その後予備役に編入されました。1897年5月には大日本帝国水難救済会の第2代会長に就任。ボランティアによる海難救助を目的とした同会の組織育成に尽力し、その活動は彼のライフワークとなりました。

政治家としての活動と晩年

1891年に父の死去に伴い伯爵を襲爵。1897年には貴族院議員に当選し、1925年までその職を務めました。また、神戸製鋼所の監査役や帝国水産会の初代会長も務めるなど、多岐にわたる分野で活躍しました。1926年に隠居し、その後、1927年に生涯を閉じました。事業の失敗により莫大な借金を抱え、角筈の邸宅も売却するなど、晩年は苦労が多かったようです。

栄典

1884年 - 従五位
1894年 - 勲六等瑞宝章
1895年 - 単光旭日章、功五級金鵄勲章
1906年 - 勲四等旭日小綬章

家族

歌人の吉井勇は長男。娘は長田馨、伊達徳真に嫁いでいます。弟には陸軍中将の高島友武、妹は大山巌の妻がいます。

著作

「再び我が救済会の事業に就て」
「我水難救済事業発展の方針--慈善と徽章に就て」

吉井幸蔵は、海軍軍人、政治家として活躍する傍ら、水難救済会の活動に尽力し、社会貢献を果たした人物として、その名は記憶されています。

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