吉原直樹

吉原直樹

吉原直樹（1948年 - ）は、日本の著名な社会学者であり、東北大学名誉教授の称号を持つ。社会学博士として、社会学、都市社会学、地域社会学、そしてアジア社会論といった広範な分野で研究活動を展開している。また、社会学系コンソーシアムの理事長も務めた。

人物と経歴

徳島県阿南市出身。慶應義塾大学経済学部を卒業後、同大学大学院社会学研究科で社会学の研鑽を積んだ。立命館大学産業社会学部助教授、神奈川大学外国語学部教授を経て、1993年から東北大学文学部教授に就任。インドネシア大学大学院客員教授、地域社会学会会長、東北都市学会会長、東北社会学研究会会長、東北社会学会会長など、数々の要職を歴任。

2011年からは大妻女子大学社会情報学部、2017年からは横浜国立大学都市イノベーション研究院で教鞭をとる。2013年6月には社会学系コンソーシアム理事長に就任。日本学術会議連携委員も務めた。

研究内容

吉原の研究は、アメリカ都市社会学、特にシカゴ学派の影響を受けつつ、戦後日本の地域社会（町内会）に関する実証研究を重視している点が特徴である。グローバル化とローカル化が同時進行する現代社会において、時間と空間の概念を再構築することで、都市社会学の理論的な再検討を試みている。また、地域住民組織論と接続させ、新たなアジア社会論の可能性を追求している。

著書

吉原は、数多くの著書や論文を発表しており、その研究成果は広く社会に貢献している。主な著書として、以下のようなものがある。

『地域社会と地域住民組織――戦後自治会への一視点』（八千代出版, 1980年）
『都市社会学の基本問題――アメリカ都市論の系譜と特質』（青木書店, 1983年）
『戦後改革と地域住民組織――占領下の都市町内会』（ミネルヴァ書房, 1989年）
『都市空間の社会理論――ニュー・アーバン・ソシオロジーの射程』（東京大学出版会, 1994年）
『アジアの地域住民組織――町内会・街坊会・RT/RW』（御茶の水書房, 2000年）
『都市とモダニティの理論』（東京大学出版会, 2002年）
『時間と空間で読む近代の物語――戦後社会の水脈をさぐる』（有斐閣, 2004年）
『開いて守る――安全・安心のコミュニティづくりのために』（岩波書店［岩波ブックレット］, 2007年）
『モビリティと場所――21世紀都市空間の転回』（東京大学出版会, 2008年）
『コミュニティ・スタディーズ』（作品社, 2011年）
『「原発さまの町」からの脱却――大熊町から考えるコミュニティの未来』（岩波書店, 2013年）
『都市社会学: 歴史・思想・コミュニティ』(東京大学出版会,2018年)
* 『モビリティーズ・スタディーズ　体系的理解のために』ミネルヴァ書房〈叢書・現代社会学 9〉、2022年

これらの著書は、都市社会学、地域社会学、アジア社会論の研究において重要な貢献を果たしており、学術界に大きな影響を与えている。

吉原直樹は、日本の社会学研究において、都市と地域社会、そしてグローバル化とローカル化の関係性を探求し、多大な貢献をしてきた社会学者である。

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