吉名郷

吉名郷（よしなごう）

概要

吉名郷は、平安時代に陸奥国行方郡に置かれた郷の一つです。現在の福島県南相馬市小高区の吉名地区一帯に相当すると考えられています。この地域は、小高川の右岸（南岸）に位置し、小高駅の南西にあたります。

歴史

吉名郷の存在は、平安時代中期に編纂された辞書『和名類聚抄』に記録されています。この書物には、当時の国、郡、郷の名前が列挙されており、その中に「吉名郷」という記述が見られます。このことから、平安時代には既に吉名郷という行政区画が存在していたことがわかります。

行方郡は、現在の南相馬市一帯に広がっていたと考えられており、吉名郷はその一部を構成していました。南相馬市には現在も「吉名」という地名が残っており、この地名が、かつての吉名郷の名残であると考えられています。この地名が残っていることから、古代の行政区画が現代にもその痕跡をとどめていることがわかります。

地理

吉名郷があったとされる地域は、小高川の右岸、すなわち南岸に位置しています。この場所は、現在の小高駅の南西にあたり、比較的平坦な地形が広がっています。小高川は、この地域を流れる主要な河川であり、古代から人々の生活に深く関わってきたと考えられます。

参考文献

藤木海『南相馬に躍動する古代の郡役所 泉官衙遺跡』、新泉社、2016年。
源順『和名類聚抄』、村上勘兵衛により寛文7年刊。国立国会図書館デジタルコレクションで2021年4月に閲覧。

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