吉岡彌生

吉岡彌生の生涯と功績

吉岡彌生（よしおか やよい）は、明治から昭和にかけて活躍した日本の医師、教育者です。彼女は、女性医師の地位向上と医学教育の発展に大きく貢献しました。東京女子医科大学の前身である東京女医学校を創設し、女性が医師として活躍するための道を開きました。彼女の生涯は、教育者、医師、そして社会活動家としての多面的な側面を示しています。

生い立ちと初期のキャリア

1871年、静岡県に生まれた吉岡彌生は、漢方医の父の影響を受け医学への関心を深めました。1889年に上京し、済生学舎（現・日本医科大学）に入学。当時、女子も入学できる数少ない医学校で学びました。1892年には、内務省医術開業試験に合格し、日本で27人目の女医となりました。

東京女医学校の設立

済生学舎が女性の入学を拒否したことをきっかけに、吉岡彌生は1900年に東京女医学校を設立しました。これは、日本初の女医養成機関であり、女性医師を育成する上で画期的な出来事でした。その後、東京女子医学専門学校、そして現在の東京女子医科大学へと発展し、多くの女性医師を輩出してきました。

社会活動と晩年

吉岡彌生は、教育者としての活動だけでなく、社会活動にも積極的に参加しました。日本女医会の会長、教育審議会委員などを歴任し、女性の社会進出を支援しました。また、多数の著書を執筆し、家庭衛生や女性の健康に関する知識を広めました。

太平洋戦争中には、婦人国策委員などの要職に就き、戦争協力に関わる活動も行いましたが、戦後、その責任を問われ公職追放となりました。しかし、その後も学校の再建に尽力し、1952年には東京女子医科大学の学頭に就任しました。

1959年、吉岡彌生は88歳でその生涯を閉じました。彼女の遺言により、遺体は解剖に付され、医学の発展に貢献しました。死後、正五位勲二等瑞宝章が贈られました。

吉岡彌生の著書と功績

吉岡彌生は、生涯を通じて多くの著書を執筆しました。初期には、語学や医学に関する著書を出版し、後には、家庭衛生、育児、女性の健康に関する著書を多数出版しました。

主な著書

『和文独訳 独逸作文独修』
『婦人の衛生』
『家庭の衛生』
『家庭看護の栞』
『日常衛生 若き婦人の心得』
『結婚より育児まで』
『家庭衛生 婦人一生の心得』
『私の実験したる安産と育児』
『安産と育児』
『家庭に於ける看護の知識』
『女医の将来と其使命』
『来るものゝ為に』
『母の教育 姙娠より育児まで』
『姙娠と安産の心得』
『女性の出発』
『婦人に与ふ』
『この十年間 続吉岡弥生伝』
『愛と至誠に生きる 女医吉岡弥生の手紙』


これらの著書は、当時の女性たちの生活や健康を向上させるための貴重な情報源となりました。また、彼女の教育者としての姿勢は、多くの女性に影響を与え、社会での活躍を後押ししました。

顕彰

吉岡彌生の功績は、今もなお東京女子医科大学や関連施設で称えられています。河田町キャンパスには吉岡の像が建立され、彌生記念講堂が設置されています。また、掛川市には吉岡彌生記念館があり、彼女の資料が収集、展示されています。

まとめ

吉岡彌生は、困難な時代の中で女性医師の道を切り開き、医学教育の発展に尽力しました。彼女の生涯は、社会の変革と女性の地位向上に貢献した偉大な人物として、今日まで多くの人々に語り継がれています。

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