吉川大介

吉川 大介（よしかわ だいすけ）

吉川 大介は、大正期から昭和期にかけて日本の実業と政治の両分野で重要な役割を果たした人物です。1892年（明治25年）9月21日、新潟県新潟市に竹田三代吉の子として生を受けました。幼名は竹田姓でしたが、後に吉川フジの養子となり、1914年（大正3年）には吉川家の家督を相続しています。学業においては、旧制中学校を修めた後、早稲田大学に進学し、専門知識を深めました。

実業家としての吉川は、多岐にわたる事業を手がけました。新潟のメディア業界においては、新潟日曜新聞や新潟毎夕新聞の社長を務め、言論活動にも関与しました。また、労務供給や労務協会の専務取締役、常務理事といった要職に就き、当時の労働問題や産業基盤に関わる事業を展開しました。さらに、新潟市燃料小売商業組合理事長として地域経済の一端を担うなど、その活動範囲は広範に及びました。その他、新潟県労務報国会長や、地域スポーツ振興に関わる新潟県野球連盟会長を務めた記録も残っています。

地方政治においても、その影響力は顕著でした。まず新潟市議会議員に選出され、市参事会員や市会副議長といった役職を歴任し、市政の運営に深く関与しました。続いて新潟県会議員に進出し、県参事会員としても県政に貢献しました。

国政への進出は、戦時色が濃くなる時期でした。1942年（昭和17年）4月に行われた第21回衆議院議員総選挙において、吉川は翼賛政治体制協議会の推薦候補として新潟県第1区から出馬し、当選を果たしました。衆議院議員として在任中は、商工省委員や農商省委員、さらには翼政会の政調文部・逓信兼務委員といった専門分野に関わる委員会等で活動しました。しかし、第二次世界大戦終結に伴い、公職追放の対象となり、一時的に政界からの引退を余儀なくされました。

戦後の公職追放解除を経て、吉川は再び国政の舞台を目指します。1952年（昭和27年）10月に実施された第25回衆議院議員総選挙では、改進党の公認候補として再び新潟県第1区から立候補し、再選を果たしました。これにより、二度目の衆議院議員としての任期を務めることとなりました。しかし、続く第26回総選挙では惜しくも落選し、通算で衆議院議員を2期務めたその政治家としてのキャリアを終えることとなりました。吉川大介は1954年（昭和29年）7月1日、61歳でその生涯を閉じています。実業界と政治界、双方において時代の変遷を見つめ、地域社会に尽力した人物として記憶されています。

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