吉田享二

吉田享二の生涯と業績

吉田享二（よしだ きょうじ、1887年 - 1951年）は、日本の建築界に大きな影響を与えた建築家、建築研究者、そして工業教育者です。彼は兵庫県美方郡に生まれ、建築材料学の専門家として名を馳せました。特に、建築材料協会や日本建築学会の会長を歴任し、都市計画にも広く関与しました。彼の学問的な功績は、特に早稲田大学において長年にわたり教鞭を執り、建築業界での基準を築くことに寄与しました。

経歴

吉田は1887年に兵庫県で誕生し、出生時の姓は宮脇でした。彼は1912年に東京帝国大学の工学部建築学科を卒業後、早稲田大学に勤務を始めました。最初は母校で講師として指導し、その後助教授に昇進。1916年には教授職を得て、多くの学生に建築を教えました。1914年には東京の吉田家に養子入り、吉田姓を名乗ることになりました。

1916年から1921年にかけて、吉田は欧米へ留学し帰国後は建築設計事務所を開設しました。その後、1925年の北但馬地震後に城崎町からの依頼で復興事業に関与し、RC造の不燃建築を多く手がけました。特に城崎温泉の「一の湯」や「まんだら湯」、城崎小学校の設計で知られています。

また、吉田は早稲田大学で建築材料学に加えて都市計画学も教え、1931年には建築設備総合協会の会長に就任しました。1932年には「建築物の耐久性」の論文で工学博士の学位を取得し、1936年には建築保全会社を設立しました。

その後、1943年には大東亜建築研究所の理事長に任命され、木材工業協会の会長としても活躍しました。1947年に日本建築学会関東支部を設立し、初代支部長に就任。1949年からは日本建築学会の会長を務め、1950年には日本建築材料協会の会長職を務めました。

主な作品

吉田享二が手がけた作品には、毛利文庫、旧菅原電気商会（現：第一菅原ビル）、日本民藝館本館、尾崎家住居、京品ホテルなどが含まれ、多くの建物は現在に至るまでその美しさと機能性を誇っています。特に日本民藝館本館は柳宗悦への助言に基づいて設計され、1999年に国の登録有形文化財に指定されました。また、安藤家住宅も彼の作品として高く評価されています。

彼の著作には『建築工学ポケットブック』、漆喰壁に関するパンフレット、そして『建築物の耐久性』などがあります。これらの著作は建築材料学や耐久性に関する重要な知識を提供し、後の建築家たちに多大な影響を与えました。

まとめ

吉田享二は、20世紀初頭の日本の建築界において重要な役割を果たした偉大な建築家です。教育者としての活動に加え、その研究成果は建築材料学や都市計画の発展に寄与しました。彼の残した業績や作品は、現在もなお日本の建築文化に大きな影響を与え続けています。

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