吉田簑助

吉田 簑助（よしだ みのすけ）

吉田簑助は、日本の伝統芸能である人形浄瑠璃、特に文楽において名璽を描く人形遣いです。彼は1933年8月8日に大阪府で生を受け、本名は平尾勝義です。人形浄瑠璃の名跡「吉田簑助」は、初代から四代目吉田文五郎に至るまで受け継がれています。

来歴

簑助の家族は芸能界と深い関わりを持っています。父は二代目桐竹紋太郎であり、彼も早くからその道へと導かれました。1940年6月に三代目吉田文五郎に入門し、1942年には桐竹紋二郎という名を名乗り始めます。翌年には初舞台を迎えますが、1948年には二代目桐竹紋十郎門下に入ります。このように、彼は文楽の道を精力的に歩んできました。その後、1961年6月に三代目吉田簑助を襲名し、伝統芸能のさらなる発展に貢献し続けました。

簑助は芸術活動を通じて多くの受賞歴を残しました。1970年には芸術選奨新人賞を受賞し、1994年には人間国宝に認定され、その活動が評価されました。また、1996年には紫綬褒章、1997年には芸術院賞も授与されるなど、彼の功績は多岐にわたります。特に1998年には脳出血により楽屋で倒れるも、熱心なリハビリの結果、翌年の夏の公演で復帰を果たし、多くの人々を驚かせました。

2006年にはフランスでの公演を5度目に行い、2007年にはフランス政府から芸術文化勲章コマンドゥールを受賞しました。弟子には三代目桐竹勘十郎がいて、文楽界に新しい才能を育てる存在でもあります。

簑助はその名に相応しい立女形として名を馳せており、文楽の世界において重要な役割を担ってきました。2009年には文化功労者に認定され、2012年には日本芸術院会員に選ばれるなど、彼の影響力はますます大きくなりました。

2021年4月、国立文楽劇場での公演をもって正式に引退し、晩年に至るまでその技術と情熱を注ぎ込んできました。そして、2023年秋の叙勲においては、旭日中綬章が授与され、彼の長年の努力が称えられました。

著書

簑助の活動は舞台だけでなく、著書にも表れています。共著としては、」「吉田簑助・山川静夫」名義の『吉田簑助と山川静夫花舞台へ帰ってきた。-脳卒中・闘病・リハビリ・復帰の記録』があり、これは彼の闘病生活や復帰までの軌跡を綴ったものです。さらに、独自の著作『頭巾かぶって五十年-文楽に生きて』も出されており、文楽への熱い思いが表現されています。

ドキュメンタリー

彼の人生を記録したドキュメンタリー「にっぽんの芸能「人形遣い 吉田簑助 文楽の女にささげた81年」」も放送され、彼の足跡を辿るきっかけとなりました。

このように、吉田簑助はただの人形遣いではなく、日本の芸術文化の中で特別な位置を占める存在であり、今後もその影響は続いていくことでしょう。

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