吉見百穴ヒカリゴケ発生地

吉見百穴ヒカリゴケ発生地

吉見百穴ヒカリゴケ発生地は、埼玉県比企郡吉見町にある、国の天然記念物に指定されているヒカリゴケの自生地です。特に関東平野の低地で自生している点が貴重で、国の天然記念物として保護されています。

ヒカリゴケについて

ヒカリゴケは、ヒカリゴケ科に属する原始的なコケ植物です。学名は`Schistostega pennata`といい、光を反射して黄緑色に光って見えるのが特徴です。生育場所は、通常、日当たりの悪い洞窟や岩の隙間など、湿った場所です。以前は標高の高い寒冷地に生育すると考えられていましたが、吉見百穴では低地でも生育していることが確認され、注目を集めました。

吉見百穴ヒカリゴケ発生地の特徴

吉見百穴は、古墳時代の横穴墓群として知られる史跡です。その斜面にある横穴のうち、北側の地表付近にある数個の横穴にヒカリゴケが自生しています。1916年（大正5年）に、当時の熊谷農学校教諭であった角田勝彌によって発見されました。標高約20メートルという低い場所でヒカリゴケが自生していることが、天然記念物としての指定理由の一つとなりました。

天然記念物に指定された当時は、関東平野の標高約20メートルという非常に低い標高地点に生育していることが指定理由とされていましたが、後年になり東京都心の千鳥ヶ淵に面した石垣の隙間からも発見されました。

天然記念物としての指定

吉見百穴のヒカリゴケは、1928年（昭和3年）11月30日に「吉見百穴光蘚発生地」として国の天然記念物に指定されました。これは、低地での生育という植物分布上の貴重さが評価されたものです。なお、吉見百穴自体も1923年（大正12年）に国の史跡に指定されています。

保護の現状と課題

太平洋戦争中、吉見百穴の地下に軍需工場が建設される際、植物学者の本田正次がヒカリゴケの保護を訴えました。幸い、天然記念物に指定された横穴は破壊を免れましたが、周辺の都市化による大気汚染や乾燥化が進み、ヒカリゴケの生育環境は悪化しています。生態学者の永野巌は、より一層の保護対策が必要であると指摘しています。

1979年（昭和54年）の調査では、最初にヒカリゴケが確認された横穴の隣にある横穴や、さらに別の3つの横穴でもヒカリゴケの発生が確認されています。しかし、いずれも量は少なく、保護対策が急務となっています。

アクセス

所在地: 埼玉県比企郡吉見町北吉見324
交通:
東武東上線東松山駅下車、川越観光自動車バス鴻巣免許センター行き乗車約5分、百穴入口バス停下車徒歩約5分。
JR東日本高崎線鴻巣駅下車、川越観光自動車バス東松山駅行き乗車約25分、百穴入口バス停下車徒歩約5分。
関越自動車道東松山インターチェンジから鴻巣方面へ約5キロメートル。
首都圏中央連絡自動車道川島インターチェンジから東松山方面へ約8キロメートル。

まとめ

吉見百穴ヒカリゴケ発生地は、貴重なヒカリゴケの自生地として、また歴史的な史跡としても重要な場所です。保護の重要性を認識し、未来へ残していくための努力が求められています。

関連情報
吉見百穴ヒカリゴケ発生地 - 国指定文化財等データベース（文化庁）
吉見百穴/ヒカリゴケ - 吉見町ホームページ
吉見百穴ふるさとの緑の景観地 - 埼玉みどりのポータルサイト
吉見百穴 - ちょこたび埼玉

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