吉里吉里2

吉里吉里2（きりきり2）は、W.Dee氏によって開発されたWindows用のソフトウェアです。GPLと独自ライセンスのデュアル[[ライセンス]]で配布される自由ソフトウェアであり、特にアドベンチャーゲーム制作の分野で、スクリプトエンジンとして広く活用されてきました。

概要

吉里吉里2は、TJSと呼ばれるスクリプト言語の実行環境を提供します。TJSは、JavaScriptやJavaに似たオブジェクト指向のスクリプト言語であり、吉里吉里2専用の言語ではなく、他のソフトウェアへの組み込みも可能です。吉里吉里2の配布パッケージには、TJS2で実装されたKAGシステム（Kirikiri Adventure Gameシステム）が付属しており、このシステムを利用することで、Windows上で動作するアドベンチャーゲームを比較的容易に制作することができます。KAGシステムは、同人ゲーム、特にノベルゲームやアドベンチャーゲームの制作者に人気があり、一部の商用ゲームにも採用されています。

特徴

吉里吉里2を用いたゲーム制作は、シナリオファイルと呼ばれるテキストファイルにゲーム内容を記述することで行われます。KAGシステムでは、タグと呼ばれる専用の指令を用いてゲームの進行や演出を制御します。吉里吉里2は、TJSで書かれたKAGシステムを実行し、そのKAGシステムがKAGシナリオを処理するという三層構造になっています。この構造により、KAGによる簡易的なゲーム制作と、TJSによる柔軟なカスタマイズ性を両立しています。KAGスクリプトだけでも簡単なアドベンチャーゲームは制作できますが、TJSの知識があればKAGシステム自体の改造や機能拡張も容易に行えます。さらに、C++の知識があれば、吉里吉里2自体の改造や拡張も可能であり、有志によって制作されたプラグインが多数公開されています。

歴史

吉里吉里の開発は1998年に始まり、翌年の1999年にはJScriptベース（0.6系列）やTJS1ベース（0.7系列）で動作するバージョンが作成されました。当時、吉里吉里を用いた作品開発の参考資料が少なかった中、初期の作品である『1999ChristmasEve』の開発において、製作元の横浜かまいたちファンクラブの製作総指揮を務めるPIA少尉がW.Dee氏と連絡を取り合いながら開発を進めました。

その後、PIA少尉が「吉里吉里/KAG推進委員会」というサイトを立ち上げたことがきっかけで、W.Dee氏とPIA少尉による共著「吉里吉里/KAGではじめるゲーム制作」が出版されました。この書籍には、吉里吉里2に移行し、機能が追加された『1999ChristmasEve』の非公開版が掲載されており、W.Dee氏はこれらの交流がKAGの基礎固めに大きく貢献したと述べています。

マルチプラットフォームを目指す吉里吉里3の開発は2005年頃から進められ、2013年12月31日には吉里吉里Z 1.0がリリースされました。吉里吉里2の開発から長い時間が経過したため、保守や改善が困難になる場面が増え、タブレットなどの変化するデバイスに対応するため、吉里吉里Zへと移行することになりました。

吉里吉里2は、その柔軟性と拡張性により、多くのアドベンチャーゲーム開発者に支持されてきましたが、公式サイトの閉鎖により、配布終了と誤解されることもありました。しかし、後継の吉里吉里Zへの移行が推奨されており、その技術は現在も活かされています。

関連項目

NScripter - 同時期に登場し、よく比較されるノベルゲームエンジン。
NovelSphere - KAGをHTML5にするゲームエンジン。
Almight - KAGとの互換性を持つHTML5ゲームエンジン。

外部リンク

吉里吉里Z

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