吉里吉里Z

吉里吉里Zとは

吉里吉里Zは、マルチメディアタイトル作成のためのソフトウェア、またはスクリプトエンジンです。修正BSDライセンスの下で公開されているオープンソースソフトウェアであり、主にアドベンチャーゲームの開発に利用されています。しかし、その用途はゲーム開発に限定されず、様々なアプリケーション開発にも応用が可能です。例えば、インタラクティブなアニメーション制作ツールであるe-moteも吉里吉里Zによって開発されています。

生い立ち

吉里吉里Zの前身である吉里吉里2は、C++ Builder 5で開発されていました。しかし、C++ Builder 6の登場後、C++ Builder 5の入手が困難になったことが問題となりました。当時、動画機能の拡張のために本体の修正が必要だったT.Imoto氏は、C++ Builder 6を所有していたものの、吉里吉里2の開発環境であったC++ Builder 5を持っていませんでした。C++ Builder 6でもコンパイルは可能でしたが、当初は必要なライブラリが吉里吉里2のリポジトリに公開されておらず、開発者であるW.Dee氏から直接ライブラリを入手する必要がありました。

その後もC++ Builderはバージョンアップを続け、再び入手性に問題が生じました。この状況を打開するため、T.Imoto氏はC++ Builder 2007でもコンパイルできるように対応を行いました。また、この際に必要なライブラリをリポジトリに追加し、誰でもコンパイルできる環境を整備しました。さらに、無償版のTurbo C++ Explorer(C++ Builder 2006)でのコンパイルを求める要望に応え、C++ Builder 2006でもコンパイルできるように対応しました。これにより、無償の開発環境でも吉里吉里2をコンパイルできる道が開かれました。

しかし、C++ Builder 2009では文字コードがUnicode化されるという大きな変更があり、GUI部分に大幅な変更が必要となりました。この変更は過去バージョンとの互換性を損なう可能性があったため、2009への対応は見送られました。吉里吉里2の公式リリースバイナリは、W.Dee氏がC++ Builder 5でコンパイルしたものであり、互換性を維持する必要があったからです。コンパイラのバージョンごとにソースコードを切り替えることで互換性を維持することも可能でしたが、GUI部分の変更が大きかったため、詳細な検証は行われませんでした。

C++ Builderは新バージョンがリリースされ続け、再び2007の入手性が問題となりました。また、無償版のTurbo C++ Explorer(C++ Builder 2006)の公開も終了しました。その後、C++ Builder XEがリリースされ、過去バージョンのライセンスが付属するようになり、入手性の問題は一時的に解決しました。しかし、旧バージョンを使い続けると新しいOSへの対応が困難になるという問題が残りました。さらに、Visual Studioと比較して、C++ Builderのエディタのインテリセンスは重く、デバッガも不安定であったため、吉里吉里2にとってC++ Builderの利点は少なくなっていました。

これらの問題に対処するため、T.Imoto氏は[吉里吉里2]]をJavaで書き直した吉里吉里Java]を開発しました。羽々斬はAndroidでも動作しましたが、当時のAndroidでは起動に時間がかかったため、TJS2スクリプトを事前にコンパイルし、バイトコード化して起動を高速化する方法が実装されました。[[吉里吉里2でも、難読化を目的としてバイトコード機能が実装されることになりました。

TJS2部分をVisual C++でもビルドできるようにしたことで、吉里吉里2全体をVisual C++でコンパイル可能にする道が開けました。この作業には大きな工数が必要と判断したT.Imoto氏は、クラウドファンディングで開発費を調達し、Visual Studioでのコンパイルを必要としていたプログラマーからの支援を得ました。その後、吉里吉里2のVCビルド対応が本格的に開始されました。

吉里吉里2のVCビルド対応版は、W.Dee氏の提案により修正BSDライセンスに変更され、GitHubに移行されました。また、過去の機能の一部を削除したため、吉里吉里2という名称では混乱を招く可能性があると考え、T.Imoto氏が新しい名称を提案し、W.Dee氏によって吉里吉里Zと命名されました。こうして吉里吉里Z 1.0がT.Imoto氏によってリリースされました。

出典

吉里吉里Z

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