同和問題にとりくむ宗教教団連帯会議

「同和問題にとりくむ宗教教団連帯会議」は、略称を「同宗連」と称し、日本の宗教界において部落差別の解消と人権確立を目指すために組織された連携体です。この組織は、部落解放同盟の主導的な役割のもと、宗派や教団を超えた宗教者が集結して結成されました。その中心的な目的は、部落解放およびあらゆる差別からの解放に向けた連帯を築くことにあります。時には、正式名称から「連帯会議」の部分が省略され、「同和問題にとりくむ宗教教団」と呼ばれることもあります。

設立の背景

同宗連の設立は1981年ですが、その genesis には、1979年に世界宗教者平和会議で行われた出来事が深く関わっています。当時、全日本仏教会の理事長であり、曹洞宗の宗務総長でもあった町田宗夫氏が、「日本には部落差別というものは存在しない」と発言しました。この発言は大きな波紋を呼び、宗教界に対する厳しい批判と糾弾の動きを引き起こしました。この事態が契機となり、宗教者自身が部落差別の現実から目を背けることなく、積極的に問題解決に取り組む必要性を痛感し、宗派を超えた連帯組織として同宗連が設立されるに至ったのです。町田氏自身も、後に同宗連の研修会で、過去の発言に対する真摯な反省と、部落問題への取り組みが宗教者の真の使命であるという認識を表明しています。

目的と活動方針

同宗連は、「よびかけ」という形でその活動の基本理念と具体的な目標を示しています。その主な内容は以下の通りです。

差別撤廃への取り組み: あらゆる差別の撤廃を目指し、宗教者としての立場から積極的に行動します。
歴史的真実への直視: 部落差別の歴史的な経緯や現状を正確に理解し、その真実から目を背けることなく向き合います。
* 具体的な人権課題への対応: 「人権侵害救済法」の制定を求める運動に参画するなど、具体的な人権課題の解決に向けた活動を行います。また、ハンセン病問題基本法制定のための署名活動や、狭山事件に関する啓発教材の発行などもその活動に含まれます。

これらの目的の達成に加え、同宗連は加盟する各教団内部の改革にも意識を向けています。曹洞宗人権擁護推進本部がかつて提示した方針にも見られるように、教団全体の意識変革を促すための研修や教育の徹底、そしてまだ同宗連に加盟していない宗教団体への働きかけを通じて、宗教界全体として部落差別問題に取り組む体制を強化することを目指しています。

具体的な活動

同宗連は、目的を実現するために多岐にわたる活動を行っています。定期的に開催される総会は、加盟教団の代表者や関係者が集まる重要な場であり、部落解放同盟の中央執行委員長などが来賓として招かれ、連携を確認しています。また、社会的な関心が高いテーマを取り上げた研修会を主催しており、過去には被差別部落問題だけでなく、「原発と人権」といったテーマも扱われました。1985年には、天台宗の総本山である延暦寺でも同宗連の研修会が開催されています。さらに、連続差別はがき事件のような具体的な差別事象を題材にした著作物（例：「「連続大量差別はがき事件」に学ぶ」）を刊行し、社会への啓発活動にも努めています。組織の運営や活動資金の面では、（一財）アジア・太平洋人権情報センター、通称ヒューライツ大阪のような人権情報センターの設立・運営にも財政的な貢献を行っており、部落解放同盟や自治体などと並んで基本財産の出捐団体の一つとなっています。

組織の現状

同宗連には、多くの宗派や教団が加盟しています。日本基督教団部落解放センターの公開情報によれば、加盟教団数は64教団、協賛団体は3団体とされています。ただし、この数値がいつ時点の状況を示すものかは、情報源からは明確に読み取れません。しかし、この多数の加盟団体は、日本の宗教界において部落差別の問題に対する関心と、その解決に向けた取り組みへの意志が一定程度存在することを示唆しています。

まとめ

「同和問題にとりくむ宗教教団連帯会議」は、過去の出来事を教訓とし、部落解放同盟との連携のもと、宗教者自身が差別問題の解決に主体的に関わるために設立された組織です。研修、啓発、具体的な社会運動への参加などを通じて、宗教界内部の意識改革を図るとともに、より広範な人権課題にも取り組むことで、部落差別のない社会の実現を目指しています。

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