同性愛に対する社会的な態度

同性愛に対する社会的な態度

同性愛及び性的指向を持つ人々に対する社会的な態度や認識について、歴史的背景や現状、法的な対策をまとめました。性的少数者（LGBTQ+）についても触れ、包括的な理解を目指します。

歴史

日本

2021年3月、札幌地方裁判所は、同性婚を認めないことが憲法14条の平等原則に違反するという画期的な判決を下しました。しかし、政府は民法の婚姻規定が憲法に反するとは考えていないという立場を表明しています。

中華民国（台湾）

2017年5月、同性婚を認めない民法が違憲と判断され、2019年5月にはアジアで初めて同性婚が合法化されました。アジア女性交流・研究フォーラムの報告書によると、1987年の戒厳令解除後の自由化と、国際社会における台湾のプレゼンス向上を目指す政府の動きが、LGBTQ+の権利拡大につながったと分析されています。

タイ王国

東南アジアで唯一、植民地支配を受けなかったタイ王国には、「同性愛禁止」という思想や制度がありませんでした。仏教の思想も、同性愛や多様な性的指向の受容に影響を与えていると考えられています。

現状

日本

ゲイであることを公表しているジャーナリストの北丸雄二は、日本で同性婚の議論が進まない理由の一つとして、同性婚が性的な問題として捉えられがちであることを指摘しています。2015年には一橋大学でアウティング事件が発生し、当事者や支援者に大きな衝撃を与えました。オープンリーゲイの砂川秀樹は、アウティングによって苦しみ、転落死した男子大学生に対し、多くのゲイ当事者が共感していると述べています。

政界

自民党の杉田水脈議員が「LGBTには生産性がない」と発言し、国内外から批判を浴びました。また、同党の議員が「LGBT理解増進法案」を巡り、「生物学上、種の保存に背く」といった発言をするなど、LGBTQ+に関する偏見や誤解に基づく発言が後を絶ちません。2022年には、「神道政治連盟国会議員懇談会」の会合で配布された冊子に、同性愛を精神障害や依存症とみなす差別的な記述が見られ、批判を浴びました。

芸能界

『週刊女性』は、マツコ・デラックスやはるな愛など、LGBTQ+のタレントがメディアに不可欠な存在となっていると評価しています。カルーセル麻紀は、ジェンダーや性同一性障害という概念がなかった頃のテレビ業界では、LGBTQ+の人々が見世物や化け物扱いされていたと語っています。現在では、言葉狩りのように放送禁止用語が増え、表現の自由が狭まっていると感じているようです。

中華民国（台湾）

台湾はアジアで最も同性愛に寛容な社会の一つと言われています。2003年に500人規模で始まったプライドパレードは、2016年には8万人を超える参加者を集めるほどに成長しました。

タイ王国

タイも同性愛に比較的寛容な社会です。BLドラマで有名なGMMTVのディレクター、ノパナット・チャイウィモールは、ボーイズラブ作品がタイ社会から肯定的な反応を得ていると述べています。2019年の総選挙では、LGBTQ+当事者の議員が4人誕生しました。しかし、タイ社会にも偏見や差別は存在し、「前世の行いが悪い人が現世でLGBTになる」といった言説や、HIVに関連するいわれのない偏見も残っています。

法的な対策

（各国における法的な対策については、詳細な情報が不足しているため、今後の調査課題とします。）

参考文献

田村慶子; 疋田京子. “アジアにおける性的マイノリティの人権と市民社会 ―台湾、シンガポール、日本の比較研究を中心に―” (PDF).
大塚智彦. “タイ発｢BLドラマ｣が大ブレイクする納得の事情”. 東洋経済オンライン.

関連項目

イスラム教におけるLGBT

外部リンク

アマルギオアイレ・ディアナ・エレナ. “日本社会におけるLGBTに対する認識と透明化のプロセス” (PDF).
* “「帰国すれば終身刑」タンザニアから逃れた同性愛カップル　２度却下も難民申請を切望する理由”. 神戸新聞.

もう一度検索