同期検定器

同期検定器

同期検定器（どうきけんていき、英: Synchroscope）は、交流電力システムにおいて複数のシステム間の位相差と同調を検出するために使われる重要な電気計器です。この装置は、特に発電機を母線（電力系統）に接続して並列運転を行う際に不可欠な役割を果たします。

同期運転の条件

発電機を母線に接続するには、いくつかの重要な条件を満たす必要があります。これらの条件は以下の通りです：
1. 周波数が同等であること
2. 電圧が同位相であること
3. 電圧の大きさが等しいこと
4. 電圧の波形が同一であること
5. 相回転方向が一致していること

発電機を接続する前に、同期検定器を使って最初の2つの条件を確認します。最も基本的な方法として、母線と発電機の同相間に3つの電球を接続することで、電球が消灯することで電圧と周波数が等しくなったことを確認できます。しかし、この手法ではわずかな位相差や周波数の差を検知するのが難しいため、同期検定器と電球の併用が推奨される場合もあります。

同期検定器の構造

同期検定器は、磁場の合成を利用して指針を回転させる電気機械的な構造を持っています。この計器は、一般的な電圧計や電流計の渦巻バネを使用しないため、指針はあらゆる方向で自由に回転することができ、非常に精密な測定が可能です。

使用方法

同期検定器は、指針の回転方向によって機械の周波数が「遅い（SLOW）」または「速い（FAST）」かを示します。同期発電機が母線の周波数に近づくにつれて、指針の回転は徐々に遅れ、周波数が一致すると指針は停止します。この状態では母線と発電機の位相差（0～360度）を表示し、指針が黒線の真上で止まると完全に同期したことを意味します。なお、周波数に著しい差があるときは、指針が回転せず振動するだけの状態となります。同期検定器は、通常±1～2Hzの限られた周波数範囲での使用が推奨されています。

内部構造

可動鉄片型同期検定器

このタイプの内部には二つの巻線があり、一方は発電機からの三相交流によって固定子巻線が回転磁界を生み出し、もう一方は母線からの単相交流によって励磁されます。これら二つの巻線による合成磁界が可動鉄片を励磁し、主軸および指針が回転します。この構造は過熱せずに長時間動作することが可能です。

クロスコイル型同期検定器

この型は単相誘導電動機に似ており、直行するように軸に固定された二相の巻線から構成されています。これらはブラシおよびスリップリングを介して誘導箱に接続されます。この構造は比較的大きな電力を必要とし、操作時間が短く留意が必要です。

ウェストン型同期検定器

このタイプは、位相が合わない限り指針が左右に振動し続けます。位相が一致すると指針は中央に固定され、接続された電球は最大の明るさに達します。

ディジタル型同期検定器

このタイプの表示は、LEDを用いた構成が一般的で、異なる色のLEDで位相を示すことができます。内部のマイクロコントローラによって信号処理が行われ、位相差が直接表示される他、同期が取れた場合には接点出力を行うことも可能です。

関連項目

• - 指示電気計器
• - 電圧計
• - 電流計
• - 電力計
• - 力率計
• - 周波数計
• - 制御盤

参考文献

• - General Electric. Electric Instruments Construction and Operating Principles. General Electric Meter and Instrument Department, West Lynn, Mass. 1949, chapter 7.
• - 青木晋、友田三八二. 『最新電力機器 電気計器』. 修教社書院、1938年。

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