名出保太郎

名出 保太郎の生涯

名出保太郎（ないで やすたろう、1866年2月7日 - 1945年9月6日）は、日本の聖職者および教育者として長い歴史を有し、多くの実績を残しました。彼は日本聖公会の初代監督（主教）を務め、特に大阪教区の初代主教として広く知られています。また、築地・聖三一教会（立教教会）においても初代牧師としての役割を果たしました。

幼少期と教育の始まり

名出は紀伊国那賀郡名手村（現在の和歌山県紀の川市）で生まれ、庄屋の家に育ちました。彼は地元の小学校で教員として働き、その後、大阪に移り住みました。米国の聖公会宣教師であるテオドシウス・ティングの支援を受けながら、大阪・川口にある英和学舎で学びました。その後、聖職者の道に進むことを決意し、1879年には日本の聖公会として初の日本人牧師の地位に就任しました。

聖職者としてのキャリア

名出は、東京に移動し、東京三一神学校（現・聖公会神学院）で学びました。1882年、築地居留地に新しい校舎が完成し、同年立教大学校が開設されました。名出ら学生たちは、当時の寄宿舎の不満を解消するために、立教大学創設者であるチャニング・ウィリアムズに改善を求め、実際に部屋の移動をすることになりました。ウィリアムズは「学生のために良い環境を提供すべき」との信念を持ち、その実践を示しました。

1887年には日本聖公会が設立され、1889年には築地・聖三一教会が誕生します。名出はこの教会の初代牧師に就任し、その後1890年に東京三一神学校を卒業します。この時期、彼は東京の神田基督教会でも信仰活動に携わり、同じ志を持つ仲間たちとともに協力していきました。

大阪教区の設立と監督就任

1897年には大阪の川口基督教会に着任し、1920年には新しい会堂と牧師館が竣工しました。1923年には日本聖公会大阪教区が設立され、名出は初代教区主教として任命されます。この重要な役割を果たす際、彼が身につけた「新監督の法衣礼服」は故監督ウィリアムズの遺品であり、彼の信念や伝統を受け継ぐ象徴となりました。

1924年、名出はヴァージニア神学校より名誉神学博士号を授与され、この業績はアジア人としての大きな記録となります。彼の指導のもと、多くの信徒が成長し、その信仰の広がりに大きく貢献しました。

最晩年と家族

名出は1945年、戦争の困難な時期に大阪市内の聖バルナバ病院で息を引き取りました。彼の教育や聖職者としての努力は評価され、名出の息子のTakeshiと孫のTimothyもまた、ヴァージニア神学校を卒業し、日本で奉仕活動を行っています。名出保太郎の生涯は、教育と信仰に捧げられたものであり、彼の影響は今も多くの人々に受け継がれています。

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