名古屋モスク

名古屋モスクの概要

名古屋モスクは、1980年代後半に名古屋を訪れた留学生たちにより設立された「名古屋イスラム協会」が母体であり、1998年に完成した。このモスクは愛知県名古屋市中村区本陣通に位置しており、名古屋市営地下鉄の本陣駅から徒歩6分とアクセスも良好である。名古屋モスクは外堀通沿いにある4階建ての鉄筋コンクリート製の施設です。

歴史的背景

名古屋都市圏では、戦前にタタール人を中心としたモスクが存在したが、戦後はムスリムコミュニティが希薄になり、1980年代に至るまでの記録はなかった。しかし、1986年から留学生たちの増加に伴い、彼らは金曜礼拝を名古屋大学の空き教室で行うようになった。その後、大学の宗教活動禁止により、彼らはアパートを借りて礼拝所を維持する時期が続いた。

名古屋イスラム協会は1987年に設立され、1998年に名古屋モスクが新たに完成することとなった。モスク建設のための資金集めや土地探しが行われ、最終的に約6780万円を集めて土地購入と建築を実現した。

モスクの構造と利用

名古屋モスクは、礼拝室や事務所、ウドゥのための水場が整備されており、男女別に礼拝室が設けられているのが特徴である。女性の礼拝室は2階にあり、男性用の礼拝室が3階と4階に設けられている。この配慮は、子連れの母親が利用しやすいように考慮された結果であり、開設当初から女性の居場所が考えられたことが評価されるべきだ。

名古屋モスクは宗派への制約もなく、どの宗派のムスリムであっても利用できる場所となっており、シーア派の信者も多く訪れている。

モスクの活動と地域交流

名古屋モスクでは礼拝の他にも、イスラームに関する資料の配布やコミュニティ活動が盛んに行われており、特に女性や若者を対象とした学びの場が充実している。モスク内ではアラビア語教室や勉強会が行われ、地域住民との交流を目指したイベントも開催される。さらに、名古屋モスクでは地域の皆様との接点を大切にし、理解を深めるための取り組みとして、見学者の受け入れや講演も行っている。

社会の動きへの対応

2015年には、名古屋モスクはISILに関する声明を発表し、メディアに対して「イスラム国」という呼称ではなく、より適切な名称の使用を求めた。この発表は、イスラームへの偏見を減少させるための重要な一歩とされ、地域社会やムスリムコミュニティの結束を促進することを目的としたものであった。

現在の状況

現在、名古屋モスクには多くのムスリムが集まり、金曜礼拝には300人以上の参加者がいる。COVID-19の影響で礼拝が中止される事態にも直面したが、それでもなおコミュニティの結束は保たれている。モスク自体も拡張し、隣接する建物や土地を購入することで支障のない利用が可能になっている。

名古屋モスクは宗教法人として正式に認可を受け、多岐にわたる活動を通じて、地域の一員としての役割を果たしている。このような取り組みにより、名古屋モスクは日本国内におけるムスリムの中心的存在としての地位を築いている。

もう一度検索