名古屋市中央卸売市場

名古屋市中央卸売市場

名古屋市中央卸売市場は、愛知県名古屋市が運営する重要な生鮮食料品等の流通拠点です。3つの市場から構成され、市民の食生活を支えています。

概要

1949年（昭和24年）4月に熱田区に開設された本場を起源とし、その後、北部市場（豊山町、1983年開設）、南部市場（港区、2007年開設）が設置されました。本場では主に生鮮食料品、北部市場では青果・水産物、南部市場では食肉が取り扱われています。

平成22年度の総取扱高は2,838億3,978万7,694円に達しました。

歴史

成立前史

名古屋の卸売市場のルーツは、熱田魚市場と枇杷島青物市場に遡ります。

熱田魚市場

熱田は七里の渡しの発着場として古くから港町として栄え、魚の集散地として自然発生的に発展しました。寛永年間には問屋の株数が定められ、木之免と大瀬子の2箇所に各4軒の問屋が置かれました。天保年間には、尾張・三河・伊勢だけでなく、紀伊・駿河・遠江からも魚が集まるようになり、大いに賑わいました。

枇杷島青物市場

枇杷島青物市場は、清須市西枇杷島町橋詰町や南問屋町周辺に存在しました。1622年（元和8年）には6軒の問屋が成立したとされ、尾張藩の保護のもと、後に38軒を数えるまでになりました。尾張・美濃・三河・伊勢・駿河に加え、京阪方面からの物品も運ばれ、「万物問屋」とも称されました。

中央卸売市場開設への動き

明治時代に入り、藩の庇護を失ってもなお両市場は繁栄を続けましたが、大正時代になると物価高騰などから中央卸売市場開設の機運が高まりました。名古屋市は1922年（大正11年）に西柳町の中央市場株式会社と船入町の名古屋水産市場株式会社を買収し、中央卸売市場への改組を目指しましたが、この計画は実現しませんでした。1933年（昭和8年）にも同様の計画が持ち上がりましたが、これも廃案となりました。

戦時下の市場統合

中央卸売市場の計画が具体化したのは、戦時統制が進む中で生鮮食料品などが統制下におかれるようになったためです。1942年（昭和17年）4月、名古屋市の生鮮食料品等配給調査臨時委員会は、愛知県食品市場規則に則った中部・北部・南部の3卸売市場の建設に関する答申を示しました。

中部市場

熱田区の湿地帯に建設されましたが、1945年（昭和20年）に完成直後、名古屋大空襲により焼失しました。

北部市場

当初は西春日井郡西枇杷島町の庄内川河川敷に建設予定でしたが、西区上更通の土地を買収して整備されることになり、1955年（昭和30年）1月に枇杷島市場として開場しました。

現在の市場

現在、名古屋市中央卸売市場は、本場、北部市場、南部市場の3つの市場がそれぞれの特性を生かし、市民の食生活を支える重要な役割を果たしています。各市場では、新鮮な食材が取引され、食の安全・安心を確保するための取り組みも行われています。

参考文献

市川幸生「名古屋市中央卸売市場」『愛知百科事典』中日新聞社、1976年
50年誌編集委員会 編『名古屋市中央卸売市場50年誌』名古屋市、1999年

関連項目

卸売市場法
柳橋中央市場
清須市西枇杷島問屋記念館

外部リンク

名古屋市中央卸売市場（日本語）

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