名古屋市交通局300形電車

名古屋市交通局300形電車

名古屋市交通局300形電車は、1967年に登場した名古屋市営地下鉄の通勤型電車です。主に東山線で使用され、当初は200形を基にした改良車として設計されました。300形は、名古屋市内の通勤輸送において重要な役割を果たし、多くの人々に利用されてきました。当時、新たに開業した東山公園から星ヶ丘の間で運行を開始したことから、名古屋の交通網に弾みをつけました。

概要

300形は1967年から1975年にかけて製造され、総計114両が導入されました。開業当初の4両編成や、アフターの5両および6両編成が製造され、名古屋市営地下鉄の発展に寄与しました。車両設計は先行車両である200形や700形を基にしており、編成の連結についてはプレハブ設計がされており、中間車が固定される方式となっています。これにより、プロペラシャフトによる動力伝達が必要なくなり、効率的な編成が可能となっています。

車体

300形の外装は名城線1000形系列と似ており、屋根には風洞設計が施されています。側面は幅1300 mmの両開き扉と3連窓のユニット窓を採用しているのが特徴です。また、他の系列とは異なり、行先表示器は系統板を使用した形式となっており、先進的なデザインが施されています。特筆すべきは、東山線の車両として初めて、全ての車両が両開き扉を持っている点です。塗装は黄色の菜種色で、シンプルなデザインが印象的です。

主要機器

この車両は、三菱製の主電動機を使用し、出力は55 kWです。制御装置については日立製MMC-LTBが採用され、ブレーキシステムにはSMEE電磁直通ブレーキが用いられています。1973年以降の製造車両では、台車が変更され、静止形インバータ（SIV）の導入により保守性の向上と騒音の低減が図られました。「800形」と呼ばれる中間車も同時期に製造され、主に補助電源を提供する役割を担っています。

編成と改造

300形は、1978年時点での編成が整備され、その後も徐々に改修が加えられてきました。特に301号および303号については、補助電源装置の換装が行われ、803号と編成を組んでいた車両の装置も置き換えられました。また、放送装置が導入されたものの、発車ベルは設置されず、そのまま運行されました。

廃車と譲渡

1992年、5050形の新規導入に伴い、最初の廃車が行われました。以降も順次廃車が進行し、2000年には名古屋市営地下鉄からの営業運転が終了しました。さらに、2002年までに一部の車両は他の事業者へ譲渡され、高松琴平電気鉄道やブエノスアイレス地下鉄での運用が開始されました。これにより、名古屋市内の非冷房車両は完全に姿を消すこととなりました。

まとめ

名古屋市交通局300形電車は、名古屋の通勤輸送において歴史的な役割を果たした電車です。その仕様や運用状況は、当時の交通機関の発展を物語っています。今後も、先代の車両たちから受け継いだ技術やデザインの影響を受けた電車が、新たな近代交通の一翼を担っていくことでしょう。

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