名古屋市交通局900形電車

名古屋市交通局900形電車の概要

名古屋市交通局がかつて保有していた900形電車は、名古屋の路面電車ーションを代表する歴史的な車両です。この電車は、1940年代に製造され、名古屋の市電トランジットネットワークに重要な役割を果たしました。

車両の背景

900形電車は、木南車輌製造によって製作されました。当初は呉市電用途に計画された7両の路面電車だったものの、発注が取り消されたため、名古屋市がその購入を決定しました。散水車への改造を名目に、1943年には3両、1944年には4両が名古屋市に投入されました。

この車両の形式名「900」は、呉からの流れを示していると言われており、名古屋市にとっても重要な意味を持っていました。特に907号車は、他の車両とは異なり、緑色の塗装を施されていました。これにより、900形の中でも独特な存在として知られるようになりました。

問題点と改善

900形電車は、営業運転においていくつかの問題が指摘されました。そのひとつがブレーキの性能で、これが不十分だとされ、また、車両の乗降口が中央両開き戸の折り戸とされていたため、乗客にとって乗り降りが不便でした。これに対して整備員や乗務員からの不評も多く、戦後にはブレーキや扉の改修が行われました。折り戸は外吊り式の片開き戸に改造され、乗降の際の利便性が向上しました。

さらに、尾灯の配置も変更があり、初期の形式では方向幕の横に取り付けられていたものが、後に前照灯の横に改められ、視認性が向上しました。

技術的な変遷

電動機は当初SLA形のものが装備されていましたが、運用期間中にいくつかの更新があり、最終的に1400形と同型の電動機へと変更されました。また、制御器は廃車になった単車から流用されたとされています。

戦時中の影響

名古屋は激しい空襲に見舞われ、900形電車の905号車も被害を受けて廃車となりました。その後、907号車が905号車に改番されることで、名古屋市の交通の歴史の中でこの車両が果たした役割が記憶されることとなりました。

廃車後の運命

1963年4月には、900形の全車両が運行を終了し、豊橋鉄道に譲渡されました。豊橋鉄道では、900形は800形（初代）として運用され、その後モ3800形に改番されました。これらの車両は1989年までに全て廃車され、名古屋市交通局900形電車はその歴史に幕を下ろしました。

車両の諸元

• - 車長: 11,286 mm
• - 車高: 2,286 mm
• - 車幅: 3,540 mm
• - 定員: 70名
• - 自重: 13.8t
• - 台車: ブリル76E2型
• - 電動機: 33.6kW × 2

900形電車は、名古屋の路面電車史における貴重な遺産であり、その存在は名古屋の交通発展と共に歩んできた証ともいえるでしょう。

参考文献

• - 『名古屋市電が走った街 今昔』（JTB、徳田耕一著）

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