名古屋市金山体育館

名古屋市金山体育館について

名古屋市金山体育館は、愛知県名古屋市中区古沢町にかつて存在していた体育館で、1958年から1964年にかけて大相撲の名古屋場所が開催されていたことで知られています。この体育館は、もともとは太平洋戦争中に飛行機の格納庫として利用されていた場所を転用したもので、冷房設備は未設置でした。このため、開催期間中の暑さは非常に厳しいものであり、観客にとってはつらい条件での観戦を強いられました。

元NHKのアナウンサーであり、相撲評論家としても知られる杉山邦博氏は、金山体育館での本場所がまるで蒸し風呂のような熱気だったと回想しています。館内では通路に氷柱が立てられたり、酸素ボンベから酸素が供給されるといった独特な対策が講じられていたことが語られています。このような理由から、金山体育館で行われた大相撲名古屋場所は『南洋場所』または『熱帯場所』とも呼ばれ、特に熱気が印象に残る場所となりました。

しかし、1965年には大相撲興行が新たに整備された愛知県体育館に移転し、名古屋市の人口が200万人を超えたことを記念して、芸術文化の振興と市民福祉の向上を目的に名古屋市民会館（現Niterra日本特殊陶業市民会館）が新たに設立されることとなりました。このため、金山体育館は取り壊され、名古屋市のスポーツ施設としての役目は1969年に新設された名古屋市体育館に引き継がれました。

金山体育館での大相撲中には、印象深いエピソードも生まれました。1960年の7月場所9日目、幕内の玉乃海と若前田の取組中に、雷を伴った集中豪雨が発生し、体育館の天井窓が壊れ、東方のタマリ席や最前列のサジキ席に大量の雨水が降り注ぐという事態が起きました。観客や幕内力士たちはたちまちずぶ濡れになり、傘を差しても効果がないほどの雨漏りが続いたという出来事は、金山体育館の記憶に残る出来事の一つです。

金山体育館は、そのユニークな歴史とエピソードで多くの人々に愛され、覚えられています。名古屋市の近代的なスポーツ施設の発展とともに、その役目を果たした金山体育館は、地域の文化とスポーツの歴史の中で重要な位置を占めていました。

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