杉山邦博

杉山邦博の新たな歴史を紐解く

杉山邦博（すぎやま くにひろ）は、1930年10月19日生まれの福岡県出身で、元NHKのエグゼクティブアナウンサーとして長年にわたり日本のスポーツ中継界に貢献してきました。彼は日本福祉大学生涯学習センターのセンター長および客員教授を務める一方、中京大学体育学部大学院の非常勤講師としても活動しています。また、東京相撲記者クラブの会友としても知られ、相撲ジャーナリストとしての顔も持っています。さらに、彼の実弟は教育学の権威として知られ、東京大学名誉教授を務める堀尾輝久です。

来歴とキャリアの始まり

杉山は、小倉市（現在の北九州市）で育ち、熊本陸軍幼年学校、福岡県立小倉高等学校を経て早稲田大学文学部に進学します。その後、彼は1953年にNHKに入局し、名古屋局が初任地としてやって来ます。この時、彼の指導者であった山本照との出会いは、のちの大相撲実況のキャリアに大きな影響を与えることになります。1954年2月、杉山は金山体育館において、自身の初実況となる大相撲名古屋準本場所を担当しました。

大相撲実況への道

1957年、九州場所が準本場所から本場所に昇格する際、杉山は福岡局に異動し、中継を担当しました。この経験を「生まれ故郷の福岡で初めての本場所に携わったことは非常に誇りに思います」と振り返っています。NHK時代、杉山は名古屋（1953-57年、1982-85年）、福岡（1957-60年、1965-69年）、大阪（1969-72年）、東京（1960-65年、1972-82年、1985-87年）といった数々の大相撲本場所の開催地での放送を担当しました。

1987年10月にNHKを定年退職し、同年9月場所の千秋楽が最後の実況となりましたが、その後も解説者としての役割を果たし続けました。現在でも東京相撲記者クラブの会友として活動し、本場所中継では観客席にしばしば姿を見せる杉山の姿が視聴者に親しまれています。また、相撲力士の結婚式や断髪式の司会も行うなど、多彩な活動を続けています。

オリンピック実況とエピソード

杉山は、1964年の東京オリンピックや1968年のメキシコオリンピックにおいても実況アナウンサーとして活躍しました。特に1968年のメキシコシティオリンピックでは、レスリングの実況中継でモンゴルのジグジドゥ・ムンフバト選手が獲得した銀メダルに関する感情たっぷりのコメントが印象に残っています。

彼はまた、「泣きの杉山」として知られるほど、感情豊かな実況でも有名です。1975年の春場所、初代貴ノ花の優勝が決まった瞬間、彼は感極まって言葉を詰まらせ、以降は「泣かせの杉山」と称されるようになりました。このような彼の人間味ある一面は、視聴者に深く響きました。

取材証の没収騒動

2007年、杉山は日本[[相撲協会]]から取材証を没収される事態に直面しましたが、この出来事は数々のメディアから注目を集めました。同協会の理事長が彼の意見に関して批判的な態度を取ったことが背景にあったものの、良好な関係に戻り、最終的に取材証は返却されました。このように、杉山はメディアの活動を通じて大相撲に対する深い愛情を示しています。

主な業績と媒体活動

杉山は多くの著書を残し、その中には『土俵の鬼 三代』、相撲に関する名実況の記録をまとめたものや、『兄弟横綱-若貴の心・技・体』などがあります。また、NHK退職後もラジオやテレビ番組に積極的に出演しており、リスナーや視聴者を楽しませる存在であり続けています。

特に、TBSラジオの「大沢悠里のゆうゆうワイド」や「ひるおび！」などでは、その知識と経験を生かし、相撲の魅力を伝えています。杉山邦博は、アナウンサーとしてのキャリアだけでなく、相撲文化の普及に貢献する文化人としても広く知られています。

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