名古屋遊覧バス

名古屋遊覧バスについて

名古屋遊覧バス（なごやゆうらんバス）は、愛知県名古屋市で運行されていた定期観光バスと貸切バスの運営を行っていた事業者です。このサービスは1962年に設立され、多くの観光客に名古屋を訪れる際の交通手段として利用されてきました。

設立の背景

名古屋遊覧バスは、名古屋鉄道、名古屋市、中部観光自動車（現・鯱バス）、東海銀行（現・三菱UFJ銀行）の共同出資によって設立されました。当初、名古屋市営バスによる観光事業が1951年から続いていましたが、名古屋鉄道や中部観光自動車もこの分野に参入しようとしていました。そうした中で、3社の間の競合が生じたことを受け、協議の結果、名古屋遊覧バスが具体化したのです。

運行の経緯と廃止

名古屋遊覧バスは市内の観光スポットを巡る定期観光バスを運行し、数多くの観光客に愛されていました。しかし、近年では貸切バス利用の需要が減少し、民間業者との競争や定期観光コースの厳しい状況が続いていました。さらに、2003年以降の排出ガス規制強化に伴う車両の更新費用、外郭団体としての経営上の問題も影響し、2006年には事業を終了することとなりました。

名古屋市から名古屋遊覧バスが撤退することで、定期観光バスは消えてしまいました。しかし、名古屋市交通局はこの空白を埋めるため、「名古屋観光ルートバス」という名称で一般バスを使った観光ルートを新たにスタートさせました。このバスは名古屋市営バスに似た料金体系を採用し、乗り放題の一日券も提供されました。後にこのサービスは「メーグル」と改称され、専用車両を導入して運行本数の増加などの改革が行われました。

車両の特徴

名古屋遊覧バスが使用していた車両の多くは三菱ふそうトラック・バス製でした。設立当初の車両は白地に紫の帯を施したデザインで、名鉄バスの白と赤の配色を基に、名古屋市営バスの空色を取り入れたものでした。各車両には名古屋市に由来するひらがなの愛称が与えられ、親しみやすさが添えられていました。

特におもしろい点は、観光コースで使用されていた二階建てバスの存在です。1985年には名古屋市国際展示場で開催された「ワールドインポートフェア」のために名古屋市交通局が導入した2台の二階建てバスが譲り受けられ、運行に使用されていました。これらのバスは観光の楽しみをさらに高める役割を果たしていました。

まとめ

名古屋遊覧バスは名古屋市の歴史的な観光事業者でしたが、厳しい経営環境から2006年に運行を終了しました。その後も名古屋市交通局が新たな観光バスサービスを展開し、観光客が名古屋を訪れる手段としての役割を引き続き担っています。名古屋遊覧バスの歴史は、地域の観光振興と公共交通の変遷を示す一例として、今なお多くの人々に語り継がれています。

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