名古屋鉄道デボ650形電車

名古屋鉄道デボ650形電車

名古屋鉄道デボ650形電車は、1927年に名古屋電気鉄道の後身である名古屋鉄道によって導入された電車です。この車両は、旧名古屋鉄道が製造した1500形系列の後継モデルとして位置付けられています。デボ650形は、制御電動車という特性を持ち、当時の鉄道技術の進化を反映した設計がなされています。

沿革

デボ650形は、1926年から1927年にかけて製造され、全部で15両が名古屋電車製作所で新たに作られました。車両番号はデボ651からデボ665まで付与され、これらは名古屋電気鉄道時代の最後の木製車両の一つになります。特に本形式は、当時の規定を超えて新しい形式称号が与えられた最初のケースで、地方鉄道の革新を象徴する車両となりました。

1935年には、デボ600形を改修するために、デボ650形666が新たに製造されることとなりましたが、この車両は再び火災で焼失。その後、1939年に名古屋鉄道で復旧されることになり、別形式として扱われました。

名古屋鉄道が1941年に社名を変更した時、デボ650形は形式名をモ650形に改められ、これは戦時中の改修や改造によっても引き継がれました。特に、モ650形651から665は、従来の木造構造から新たに設計された制御車へ改造されました。これにより、モ670形となった車両も併せて新しい時代への transition が図られました。

車体と主要機器

デボ650形は、全長およそ14メートルの木製車体が特徴で、屋根はダブルルーフ構造を持っています。運転するための運転台は両端に配置され、前面に円弧を描いた妻面形状を持つなど、デザイン面でも独自のスタイルを持っています。側面には客用扉が3つ配置されており、両端扉は両開き造りで、中央の扉は片開き設計となっています。

また、モーターには直流直巻電動機が4基搭載され、500Vの電圧で定格出力70 PSという性能が確保されています。主電動機は国産のものを使用しており、当時の技術の高さを物語っています。ブレーキ装置も高度な仕様が採用され、運転の安全性が確保されていました。

運用の歴史

デボ650形電車は、戦前から戦中にかけて活躍し、郡部線などの路線で運行されていました。戦後になると、戦時中の影響を受けた改造が行われ、さらなる運用の多様化が見られました。1948年には架線電圧の変更に伴い、ク2100形やク2230形が昇圧対応の改造を受けて、運転台機器が撤去されました。この時期、名古屋鉄道は新しい路線や設備への準備を進めていました。

1950年代に入ると、再び運転台機器を設置し、制御車としての機能を持たせて利用が進む一方で、徐々に新車両の増備や木製車両の淘汰が進んでいきました。モ650形やモ670形は支線地区に配属され、使用されていましたが、架線電圧の変更に伴い、最終的には全車廃車となりました。

結論

結局、デボ650形は名古屋鉄道の歴史にも深く根ざした存在であり、戦前から戦後の日本の鉄道技術と運用の変化を映し出しています。この木造車両群は、名古屋鉄道が近代的な鉄道網へと移行する中で、重要な役割を果たしました。今でもこの時代を象徴する車両として、多くの鉄道ファンや研究者に親しまれています。

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