名古屋電力

名古屋電力株式会社の歴史

名古屋電力株式会社（なごやでんりょくかぶしきがいしゃ）は、愛知県名古屋市に1906年に設立された電力会社です。その設立背景には、木曽川における水力発電に着目した企業家たちの思惑がありました。1896年、名古屋市の関信賢が岐阜県加茂郡での水力発電所建設を企画し、水利権申請を行ったことが始まりです。

設立の経緯

名古屋電力は、八百津発電所のプロジェクトが起点となって設立されました。しかし、計画は多くの困難に直面しました。出願者間の対立や取水地点の変更、さらには複数の申請者が出たため、長期間にわたって事業化が進まなかったのです。この中で、衆議院議員の兼松煕が中心となり、プロジェクトを前に進めることに尽力しました。彼は東京の資本家たちと連携し、名古屋の商業者たちも巻き込んで資本を集めました。

1904年7月27日、名古屋電力株式会社は岐阜県に水利権の申請を行い、しばらくの後に設立総会を開きました。発起人には名古屋や東京の実業家たちが名を連ね、これにより資本金500万円で会社が発足しました。設立後は様々な局面で事業の万全を期すために多数の実業家を相談役に迎えました。最初は名古屋市中区にあった事務所が後に移転され、新たな社屋での業務を開始しました。

名古屋電灯との関係

名古屋電力の設立後、同年11月2日には逓信省から電気事業経営の許可を受けましたが、供給区域は限られており、名古屋電灯や岐阜電気との重複がありました。実際に設立に参加する案もあったものの、内部の反対により実現しませんでした。両社の間では水利権獲得を巡る競争が頻発し、多くの紛争が生じました。

名古屋電力は設立後も、名古屋電灯との競争を意識しながら前進するものの、資金調達や将来的な発電計画に苦しむことになりました。1896年から始まった水利権獲得競争などもあり、苦しい状況が続きました。

八百津発電所の運営

八百津発電所として知られる重要なプロジェクトは、名古屋電力の核となりましたが、そこには多くの課題が存在しました。工事は予想以上に難航し、様々な問題が発生しました。取水口の工事では増水による問題や土砂崩れ、水路建設に伴う地域の地質の硬さなどが影響しました。また、資材の輸送道路自体も貧弱であり、全ての工事が順調に進むことはありませんでした。

合併の決定

名古屋電力がそれらの困難に直面している中、名古屋電灯では福澤桃介による株式の買収が進行しました。彼は名古屋電力の脅威を感じ、合併を提案しました。名古屋電力側も合併の必要性を感じており、特に兼松が株主に対して合意を促進しました。その結果、名古屋電力と名古屋電灯の合併に向けた協議が進み、1910年に合併が正式に決まり、名古屋電力は名古屋電灯に吸収される形で解散しました。

合併後、名古屋電灯は資本金の増資とともに新たな方向性を見出し、八百津発電所からの送電を1911年に開始しました。このように、名古屋電力の短い歴史は名古屋電灯との競争と協力の中で形成されていきました。

名古屋電力はその後、名古屋電灯によって発展し、地域の電力供給の基盤となりました。

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